ロボット人工関節手術、膝は普及・股関節は「これから」とされる理由

| 入力:

「精密切削」vs.「三次元挿入」が分ける違い…ブミン病院グループ、股関節ロボット手術の臨床を本格化

人工関節手術市場に「ロボット」の波が強まっている。膝の人工関節手術では、すでにロボット支援手術が患者と医療者の間で一般的な選択肢として定着した。

しかし同じ人工関節でも、股関節手術領域でのロボット導入は相対的に遅れている。膝は一般的なのに、股関節はなぜ今になってようやく歩み始めたのだろうか。

技術的ハードルと患者数…股関節ロボット手術が今ようやく軌道に乗った理由

世界市場の流れを見ると、膝のロボット手術が普及を牽引し、股関節がその後を追う構図だ。2024年の米国では、膝ロボット手術の割合が16.1%に達する一方、股関節は6%台にとどまっている(米国AJRR 2025報告書)。国内でも人工関節手術を行う病院の約5施設に1施設がロボットを導入しているが、その多くは膝に集中している。

この差はまず患者数の規模に由来する。床座の生活文化を持つアジア圏では、膝変形性関節症の患者が股関節の患者より圧倒的に多い。需要が大きい分、技術開発や臨床研究も膝領域で先に活性化した側面が大きい。

技術的難易度も見過ごせない。股関節は骨盤の深部に位置する「球関節」で、手術範囲が深く狭い。CTデータを実際の患者の骨位置に一致させる「レジストレーション(Registration)」の工程から、人工関節カップを寛骨臼に打ち込んで固定する際に生じる衝撃にロボットセンサーが耐える必要がある。膝よりもはるかに精密で堅牢な技術力が求められる。

膝は「正確に削り」、股関節は「正確に入れる」

両手術は、ロボットが担う物理的役割からして大きく異なる。膝手術の要は、大腿骨と脛骨を計画した角度に合わせてどれだけ正確に「切削(Cutting)」できるかにある。下肢アライメントを一直線に整え、靭帯バランスを取ることが成否を分ける。ロボットは、医師が計画範囲を逸脱して骨を削らないよう精密にガイドする。

一方、股関節手術は「挿入(Inserting)」の精度が要となる。寛骨臼(大腿骨頭がはまり込む臼状の受け皿)をどの深さに、どの角度で設置するかによって、術後の脱臼リスクや歩行の安定性が決まる。1mmの誤差、あるいは1度の角度差だけでも、人工関節同士のインピンジメントや脚長差といった合併症が生じ得る。

国産「CUVIS Joint THA」を用いた股関節ロボット手術。写真=ソウル・ブミン病院

ソウル・ブミン病院のハ・ヨンチャン学術研究部長は「膝のロボット手術が精密な切削による下肢アライメントの調整に重点を置くのに対し、股関節では寛骨臼カップの三次元的な位置と角度、そして脚長とオフセット(Femoral Offset:骨盤中心の回転軸と大腿骨長軸の距離)の再現が主な目標です」と説明した。

国産ロボット「CUVIS-ジョイント」、全国で臨床を本格化

これまで股関節ロボット市場は海外製機器が中心だったが、近年は国産ロボットの登場で参入障壁が下がりつつある。医療ロボット専門企業キュレクソの「CUVIS-ジョイント THA(CUVIS-joint THA)」が昨年10月に食品医薬品安全処(MFDS)の品目許可を取得し、国内技術を活用した股関節手術が可能になった。

CUVIS joint人工関節手術ロボット(左)は、股関節手術用ツール(tool)を装着(右)すると人工股関節全置換術(THA)にも対応できる。写真=キュレクソ

とくにソウル・ブミン病院に続き、最近では海雲台ブミン病院でも国産ロボットを用いた「人工股関節全置換術(THA)」に成功し、釜山・蔚山・慶南地域の患者も地域内で先進的なロボット手術サービスを受けられるようになった。これは地域医療の質向上に加え、股関節ロボット手術の裾野を広げる重要な転機と評価されている。

患者が知っておきたい選択基準…「ロボットは道具、主体は医師」

ロボット手術を検討する際、最初に直面するのは費用だ。一般にロボット手術も公的医療保険の対象となるが、消耗品費は対象外となる。

そのため、片側の膝でおよそ150万~200万ウォン程度の追加費用が発生する。病院によって多少異なる。股関節も病院や機器により差がある。

ただし費用以上に重要なのは、手術の適応である。骨変形が強い患者や、過去の骨折により解剖学的ランドマークが不明瞭な患者、大腿骨頭無腐性壊死の患者などでは、ロボットの精密なプランニング機能が有用となり得る。

専門家は、ロボット機器の名称よりも「誰が、どう使うか」をまず見るべきだと助言する。ハ部長は「膝手術の経験が豊富だからといって、股関節のロボット手術まで直ちに熟達できるわけではありません」とし、「両者は生体力学そのものが異なるため、別途の習熟プロセスとチームプロトコルを備えた専門施設を選ぶことが重要です」と述べた。

結局、ロボットは執刀医が立てた綿密な計画を一貫して実装する強力な「補助手段」である。優れた医師がロボットを適切に使ってこそ、患者の手術満足度はより高まる。

[FAQ] よくある質問

Q. ロボットで手術すると回復期間はどれくらいですか?

A. ロボット手術だからといって回復が必ず速いわけではない。回復速度は年齢、筋力、骨の状態、リハビリへの参加度によって異なる。

Q. 股関節手術をすると脚長差はなくなりますか?

A. 術前の3D計画と術中のリアルタイム位置確認により、脚長差を減らすのに役立つ。ただし実際の結果は、患者の骨盤状態、脊椎―骨盤連動の動き、執刀医の判断によって多少変わる。

Q. 膝のロボット手術を多く行っている医師は、股関節のロボット手術も上手ですか?

A. そうとは言い切れない。膝と股関節では解剖学的構造と生体力学が異なるため、別個のラーニングカーブ(learning curve)とチーム単位の訓練が必要となる。

Q. 病院で必ず確認すべき質問は何ですか?

A. 「ロボットはありますか?」よりも、「私になぜロボット手術が必要なのですか?」「執刀医の股関節ロボット手術の経験はどれくらいですか?」「寛骨臼カップの角度と脚長はどのように計画しますか?」「追加費用はどの程度ですか?」を尋ねるほうが実質的だ。

監修:ハ・ヨンチャン ソウル・ブミン病院 学術研究部長(整形外科)。 慶尚大学医学部を卒業し、同大学院で博士号を取得。盆唐ソウル大学病院および中央大学病院で教授を務めた後、ソウル・ブミン病院の第5代病院長を歴任した。大韓骨代謝学会 理事長、アジア股関節関節鏡学会 会長などを務めた関節分野の権威で、2027年からは国際骨循環学会(ARCO)会長にも就任予定。

ハ・ヨンチャン学術研究部長。写真=ソウル・ブミン病院
×