抗うつ薬の減量で不安や気分低下、「再発」ではなく離脱症状の可能性

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スイス・オーストラリア研究チーム、抗うつ薬を6カ月以上服用した成人32人を追跡

抗うつ薬を中止する際は、自己判断で急にやめるのではなく、患者の状態に合わせて段階的に用量を減らしていくことが推奨されています。写真=ゲティイメージバンク

抗うつ薬の服用量を減らす過程で抑うつ気分や不安が強まると、うつ病や不安障害が再発したと受け止めがちです。ですが、こうした症状の悪化は疾患の再発ではなく、減量に伴って生じる「離脱現象」である可能性があるとする研究結果が、国際学術誌〈Psychotherapy and Psychosomatics〉に掲載されました。

離脱現象は、薬に適応した身体が服用量を減らしたり、服用を中止したりした際に現れる身体的・情緒的な症状を指します。抗うつ薬では、抑うつ気分や不安、焦燥に加え、めまい、頭痛、感覚異常などが出ることがあります。

スイス・オーストラリアの研究チームは、抗うつ薬の減量過程で現れる抑うつ・不安症状が、既存の精神疾患の再発によるものなのか、それとも離脱反応と関連するものなのかを検証するため、研究を実施しました。

参加者は、スイスで募集した18~75歳の成人32人です。全員が抗うつ薬を少なくとも6カ月以上服用しており、既存症状が改善して安定した状態で、薬の中止を計画していました。研究チームは、抗うつ薬の減量前から26週間にわたり、症状の変化を追跡しました。

その結果、抗うつ薬の用量を減らした時期には、抑うつ気分と不安、情緒的な離脱症状が増加しました。一方、追加の減量を行わず同じ用量を維持した期間には、不安と情緒的な離脱症状が減少しました。

特に、抑うつおよび不安症状が強まる局面では、めまい・耳鳴り・感覚異常・筋けいれん・嘔吐など、身体的な離脱症状も同時に増加しました。研究チームは、これらの結果から、抗うつ薬を減らした後に現れる抑うつ・不安症状の悪化は、疾患の再発よりも離脱現象と関連している可能性があるとみています。

研究チームは、離脱症状が、減量に伴って強まったり和らいだりを繰り返す「波状(wave-like)パターン」を示したと説明しました。これに対し、うつ病や不安障害が実際に再発する場合は、薬の用量変化に合わせて症状が反復的に上下するというより、持続的に続く傾向を示すとしています。

また、抑うつ気分と不安は抗うつ薬の離脱過程で起こり得るため、既存疾患の再発と誤認される可能性があると指摘しました。そのため、抗うつ薬の減量過程でこうした症状が出たという理由だけで、長期の薬物治療が必要だと判断してはならないと強調しました。

ただし今回の研究は、32人を対象とした小規模な観察研究です。抗うつ薬の減量と抑うつ・不安症状の悪化の因果関係を断定するには限界があります。研究結果は、抗うつ薬を自己判断で中止してよいという意味でもありません。

世界保健機関(WHO)は、抗うつ薬の服用で症状が改善した中等度以上のうつ病患者について、その後も少なくとも6カ月間は治療を継続することを検討するよう推奨しています。薬の服用を中止する際は、突然やめるのではなく、患者の状態に合わせて段階的に用量を減らすことが推奨されます。

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