
「医大の定員拡大、必須医療分野の崩壊、診療報酬制度の見直し…。医療界が直面する問題は本当に多いですが、実際に医療を利用する国民とはかけ離れていると感じます。実は国民が望んでいることはもっと直感的です。自分が住んでいる地域の近くに‘良い医師’がいてほしいということです。医療界の悩みはそこから改めて出発するのが正しいと思います。」
‘良い医師をつくる方法’を探すコメディドットコムの旅は、今年初めに出会ったある大学病院の教授の嘆きから始まりました。私たちより先に同様の悩みを抱え、その答えを求めて動き出した、いわゆる『医療先進国』を訪ねました。彼らがどのように学生を選抜し教育して医師に育てているかを見ました。
国によって多少の違いはありましたが、いずれも前提は似ていました。‘良い人’でなければ‘良い医師’にはなれないという命題です。彼らは医学生が良い人になれるよう、さまざまな仕組みを整えていました。
学ぶということの意味は、学生自身が気づくべき
米国ハーバード大学医学部には「知識そのものよりも『学び方』を習得することがより重要である」という指針があります。学生が4年以上熱心に学んだ知識の半分以上は、卒業時には間違っているか別の内容に変わっているだろうと指摘したエドワード・ハンダート前学長の哲学に基づくものです。
このためハーバード医学部の基本的な講義方式は、‘ケースに基づく協働学習’と呼ばれる少人数グループでの討論と問題解決になりました。授業のテーマも臨床以外に医療倫理・医療政策・老年医学など、単に‘病気の克服’にとどまらない議論を扱うことが多いです。

ヨーロッパの医大も方式は異なりますが、似た本質を共有しています。ドイツでは医師免許を取得するために必ず『口述試験』を合格しなければなりません。『解法を暗記した学生』よりも『知識を患者に安全かつ説得力を持って伝える学生』をより優れていると見るドイツの医大の特徴を反映した制度です。
イギリスの学生も同様に医大入学のためにはボランティア活動、職業体験、運動能力に至るまで多様な能力を備えた人材であることを証明する必要があります。成績も重要ですが、面接の比重がはるかに高いです。公的医療が主となるイギリスの医療システムの特性上、職業に対する使命感と適性を最優先で考慮します。
政府の医療イノベーションの青写真、私たちは何を得るでしょうか
まだ初期段階ではありますが、国内の医大でも一部変化の兆しが見えています。ソウル大学医学部は2027年度入学生から、従来の予科2年+本科4年の教育課程を『統合6年教育課程』に改編します。教育の連続性を確保し、他専攻の授業履修の自律性を与える意図と解釈されます。
延世大学医学部は2023年から教育内容を疾患や学問分野別ではなくテーマ中心に再構成しました。ケースベースの討論やロールプレイなどを通じて人文社会と接続したテーマについて批判的思考と共感能力を育てる趣旨です。全科目で絶対評価方式を導入し学生間の競争を避けると決めたウルサン大学医学部や、ケースベース学習を中心とした統合教育課程を運営するカトリック大学医学部も変化の流れに参加しました。
政府も地域医療問題の解決のために『公的医療士官学校』を提示しました。国が一部の学生の医療教育を支援し、その代わり、一定期間地域で勤務することで返済を行う仕組みです。
似たような制度は日本にもあります。医療過疎地で働く医師を輩出するための『自治医大』です。日本の各自治体は自治医大の学生の入学金・授業料・生活費全般を全額奨学金の形で負担します。代わりに卒業生は当該地域の医療機関で9年間勤務します。政府が提示したモデルと類似した構造です。
ただし日本の自治医大モデルは明確な限界も示しました。医師たちが義務勤務期間のみを満たして別の地域へ移ってしまうため、地域医療の中核を担う10年目以上のベテラン医師が不足してしまうのです。大韓医師会もこの点を指摘し、国内導入に疑問を呈しています。
これに関連して、日本鳥取県の自治医大医学部で学生を教える在日韓国人3世のソン・ダイスケ教授がコメディドットコムに手がかりを提供しました。
「義務勤務を前提とする地域医師養成制度は欠点が明らかです。しかし、一度やってみなければ何も得られません。韓国も直接実施して得られる経験が地域医療の発展に大きな資産になるでしょう。単に成績優秀者ではなく、地域医療に真剣な学生をどのように選抜し運営するかを考えることが重要です。」
医療改革や公的医療士官学校、医大カリキュラムの変化が韓国の医療界の問題を解く万能の鍵になるわけではないでしょう。重要なのは問題を解決しようとする意思と実行力です。多くの医療先進国がそうであったように、さまざまな角度から考え、試みる必要があります。そのような努力の末に‘良い人たち’が多く輩出されれば、国民が望むとおり私たちの周りに‘良い医師’がそれだけ増えるでしょう。
〈終わり〉
本企画は政府広告手数料で賄われる言論振興基金の支援を受けました
