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アルコン「パンオプティクス プロ」発売 光利用率94%も、患者の体感改善は追加検証が必要

三焦点眼内レンズ ' 「クラレオン パンオプティクス プロ」 写真=韓国アルコン、マコル

白内障手術でかすみが取れて視界がクリアになっても、夜になると車のヘッドライトや街灯の光がにじんで不快だと訴える患者は少なくありません。光の周囲に輪が見えたり、光の筋が星のように伸びて見えたりすると、夜間運転の負担は大きくなります。

こうした現象は白内障手術そのものだけでなく、挿入する眼内レンズの種類とも関係します。遠方・中間・近方をまとめて見えるよう設計した三焦点レンズは、眼鏡への依存を下げられる一方で、ハロー(光輪)やグレア(まぶしさ)など夜間の見え方に不快感が出ることがあります。

スイスの眼科医療機器メーカー、アルコンは8日、三焦点眼内レンズ「クラレオン パンオプティクス プロ」を韓国で発売したと発表しました。遠方から、パソコン画面を見る中間距離、書籍やスマートフォンを見る近方まで視野を確保できるよう設計した製品です。

光散乱12%→6%…夜間の見えにくさも半減するか

三焦点眼内レンズ自体は新しい製品ではありません。従来のパンオプティクスをはじめ、光を3つの距離の焦点に分配するレンズは、すでに白内障手術で使われてきました。

一般的な単焦点レンズは、主に1つの距離に焦点を合わせます。遠方に合わせると、書籍やスマートフォンを見る際に老眼鏡が必要になることがあります。三焦点レンズは複数距離の見え方を確保し、眼鏡をかける頻度を下げることを目的としています。

今回の新製品のポイントは、焦点の数ではなく、レンズに入った光の配分方式にあります。

アルコンは、新製品に「インライトン NXT」光学技術を適用し、焦点形成に使われずに散ってしまう光を減らしたと説明しました。レンズ内で散乱していた光の一部を、必要な焦点へ再配分する方式です。

同社資料では、従来のクラレオン パンオプティクスは入射光の88%を焦点形成に活用し、約12%が散乱していました。パンオプティクス プロは光利用率を94%に高め、散乱比率を約6%に下げました。遠方から中間距離にかけての光学画像コントラストも、従来製品より16%向上しました。

ただ、光散乱が半分に減ったことが、そのまま患者が感じる夜間の光のにじみやハローの「半減」を意味するとは言い切れません。これらの数値は、レンズを機器で測定した実験室試験と視覚シミュレーター研究で得られたものだからです。

実際に夜道がどれだけ見やすくなったかは、手術患者を対象とした臨床結果で確認する必要があります。

従来製品では患者10人中3〜4人が光のにじみを経験

三焦点レンズの夜間の見え方の不快感は、一定数で起こります。

アルコンの従来の三焦点眼内レンズ「パンオプティクス」を両眼に挿入した患者580人のデータを集めたメタ解析では、ハロー43.9%、グレア33.6%、星状の光のにじみ30.4%が報告されました。10カ国で実施された11研究を統合した結果です。

一方で、症状を経験したことと、耐えがたいほど不快であることは分けて考える必要があります。症状が重いと答えた割合は、ハロー5.4%、星状の光のにじみ3.4%、グレア2.9%でした。非常に不快だという回答は、症状別に0.8〜2.6%でした。

さらに、この研究にはアルコンの社員が共著者として参加していました。結果を読み解く際には、利益相反も踏まえる必要があります。

夜間運転が多いなら…「最新レンズ」より目の状態・生活習慣の確認を

眼内レンズは新製品であったり価格が高かったりしても、すべての患者により適しているとは限りません。書籍やスマートフォンをよく見るのか、パソコン作業が多いのか、夜間運転をどの程度するのかによって、優先すべき見え方の距離は変わります。

角膜と網膜の状態、乱視の有無もあわせて確認する必要があります。手術後に必要なら眼鏡をかけられるか、複数距離の見え方を得る代わりにどの程度の光のにじみを許容できるかも、医療者に具体的に伝えるべきです。

パンオプティクス プロの発売は、白内障患者の選択肢を1つ増やした点に意義があります。

ただし、実験室で散乱光を減らしたという結果が、そのまま夜道の不快感の減少を意味するわけではありません。手術後にどの距離まで眼鏡なしで見たいのか、夜間運転が日常でどれほど重要なのかを先に決めることが、製品選択より重要になる場合があります。

米国眼科学会は、夜間運転が重要であれば、多焦点や焦点深度拡張型レンズで起こり得るグレアとハローを考慮すべきだと説明しています。緑内障や黄斑変性など他の眼疾患がある場合、これらのレンズが適さない可能性があります。乱視があるなら、乱視矯正機能を備えたレンズが必要かどうかまで医療者と相談するのが望ましいとしています。

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