
製氷機能付き浄水器を設置した家庭で、不安が広がっています。定期的にメンテナンスサービスを受けてきたにもかかわらず、内部にカビのように見える汚れがあったという投稿が、消費者から相次いでいるためです。
最近、X(旧ツイッター)やスレッズなどのソーシャルメディア(SNS)には、「パンドラの箱を開けた」と表現しながら、製氷機能付き浄水器の内部を公開する投稿が出ています。製品を分解したところ、カビが疑われる黒い斑点や異物が見つかったという内容です。投稿者の一部は、メーカーから3〜6カ月間隔で殺菌・洗浄の管理サービスを受けてきたとも記しています。
ただ、SNSに掲載された写真だけで、その物質が実際にカビなのか、氷や飲用水が触れる部分まで汚染が及んでいるのかを判断するのは簡単ではありません。製品内部の汚れと、飲用水の汚染の有無は切り分けて確認する必要があります。

製氷機能付き浄水器につきまとう「カビのジレンマ」
製氷機能付き浄水器は、製氷と冷却の機構を備える分、一般の浄水器よりも結露や湿気の管理に注意が必要です。
氷を作るには、製氷機と冷却部を周囲より低い温度に保たなければなりません。この際、冷えた部品が暖かく湿った空気に触れると、表面に水滴が付く「結露」が生じることがあります。
水分が長く残ると、カビが繁殖しやすい環境になりがちです。米環境保護庁(EPA)も、カビ対策の要として湿気の調整を挙げ、冷たい表面に生じる結露を主要な管理対象だと説明しています。
冷却部の周辺には、外部の熱が伝わるのを防ぐため断熱材が使われます。この周辺で結露が繰り返され、水分が十分に乾かない状態が続くと、汚れが生じやすくなる可能性があります。
韓国消費者院も過去、冷水機能のある直結型浄水器の外部断熱材でカビなどが発生した問題に関連し、製造・販売各社と特別点検を実施したことがあります。
最近は、氷が触れる部品にステンレスを使ったり、紫外線(UV)殺菌や自動洗浄機能などを搭載した製品も出ています。ステンレスは表面が滑らかで洗浄・管理に有利ですが、こうした機能だけで結露や内部の湿気を全て解消できるわけではありません。
結局のところ、製氷部と氷の貯蔵部をどのように管理できる設計になっているかも、あわせて確認する必要があります。
殺菌サービスを受けても「管理完了」ではない
記者が取材過程で訪れた家電販売店2カ所(ソウル1カ所、京畿道1カ所)では、顧客に製氷機能付き浄水器の購入を積極的に勧めない様子が確認されました。
ある店舗のスタッフは「本社やメーカーとして何らかの指針が下りたわけではありません。ただ、店舗やスタッフに抗議の趣旨の問い合わせがあまりに頻繁に入るため、現在は、どうしても製氷機能付き浄水器を希望するなら店舗ではなくメーカーを通じて購入するよう案内している状況です」と話しました。
業界関係者の見方も同様でした。定期的な管理サービスを受けていても、サービス範囲に含まれない箇所があったり、結露と湿気が繰り返される環境だったりすれば、汚れが再び現れる可能性を否定しにくいという説明です。
この関係者は「最近はサブスクリプションサービスやレンタルケアで、数カ月ごとに定期的な殺菌サービスを受ける人が多い」とした上で、「それでも結露が強い環境では再び汚れが生じることがあり、内部管理が重要だ」と述べました。さらに、衛生に非常に敏感で、かつ氷機能を必ず使う必要がないのであれば、製氷機能のない直結型浄水器を検討するのも方法だと付け加えました。
実際、製氷機能付き浄水器の衛生をめぐる論争は、最近になって初めて出てきた話ではありません。2021年にも、定期訪問管理を受けてから約2カ月の製品で、製氷皿から異物が見つかったという消費者事例が報じられました。当時、専門家も、製氷部と周辺の温度差で結露が生じ、内部が湿りやすくなると指摘しました。
ただ、こうした事例を根拠に、全ての製氷機能付き浄水器で同じ問題が起きるとか、定期殺菌サービスが効果がないと一般化するのは難しいでしょう。製品構造や設置環境、湿度、管理範囲によって差が出る可能性があります。
特に、消費者が自己判断で製品の奥深くまで分解すると、故障や安全上の問題が生じかねません。メーカーが案内した範囲を超える汚れが疑われる場合は、公式の点検を依頼する方が望ましいでしょう。
カビが見えたからといって食中毒と断定は禁物…呼吸器が敏感な人は注意
製氷機と氷の貯蔵部は、衛生管理が必要な場所です。管理が適切に行われないと、微生物に汚染される可能性があるためです。米疾病対策センター(CDC)も、製氷機と氷の貯蔵庫を定期的に清掃・消毒し、メーカーの管理指針に従うよう推奨しています。
とはいえ、製氷機能付き浄水器の内部でカビのように見える物質が見つかったという理由だけで、腸炎や食中毒のリスクが高まったと断定することはできません。実際にどのような微生物がいるのか、汚染された位置が氷や水と接触するのかなどを確認する必要があります。
カビへの曝露は、一部の人で鼻づまりや咳、目・皮膚の刺激などのアレルギー反応を引き起こすことがあり、喘息のある人は症状が悪化する可能性があります。免疫機能が低下している人や慢性肺疾患のある人は、カビへの曝露により注意が必要です。ただし、現時点でSNSで提起された製氷機能付き浄水器の事例と特定の疾患との因果関係が確認されたわけではありません。
したがって、氷や水が触れる部分で目立つ汚れを見つけた場合は、そのまま使い続けるのではなく、メーカーに点検を依頼して原因を確認するのが安全です。
氷機能をほとんど使わない、あるいは製氷部の管理が負担であれば、製氷機能のない直結型浄水器を選ぶのも代替案になり得ます。大量の水を貯める貯水タンクがなく、構造が比較的シンプルだという利点があります。
ただし、直結型だからといって、細菌や水あかの心配が完全になくなるわけではありません。韓国消費者院が家庭用浄水器の使用世帯を調査した際も、水が出る部分であるコックの衛生管理が重要だという結果が出ました。実際、ある直結型・自己管理型浄水器では総大腸菌群が検出されましたが、コックを殺菌した後は検出されませんでした。
直結型製品は、状況によって一度に出る水の量が少ない場合があり、設置場所の水圧や配管状態の影響を受ける点も考慮が必要です。
利用者が自分で管理しやすい製品を選ぶのも一つの方法です。最近は、水が出る入口であるコックや、水が通る内部配管など一部部品を、消費者が直接取り外して洗浄したり交換したりできるよう設計した製品もあります。
ただし、自己管理型製品でも、どの部品まで自分で管理できるかは製品ごとに異なります。フィルターや交換部品はメーカーが案内する周期を守り、取り外した部品を洗浄した場合は十分に乾かしてから再度組み立てる必要があります。
結局、製氷機能付き浄水器を選ぶ際に、「自動殺菌」や「定期訪問管理」といった文言だけを見て決めるべきではありません。
具体的には 購入またはレンタルサービスを受ける前に、製氷部と氷の貯蔵部を取り外して洗浄できるか、定期管理の際にどこまで分解・洗浄するのか、結露で生じた水はどう排出されるのか、利用者が自分で清掃または交換できる部品は何かを確認するのが望ましいでしょう。
すでに使用中であれば、氷の貯蔵部と出口周辺に水あかや変色、においが生じていないかも、こまめに確認しましょう。目立つ汚れが見つかったり、内部状態の確認が難しかったりする場合は、無理に自分で分解するより、氷の使用を止めてメーカーに点検を依頼する方が安全です。
