猛暑でエアコン・除湿機フル稼働 レジオネラ症予防は「まずここ」

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米国在郷軍人会大会の集団発生から今年で50年〈br/〉 冷却塔水、シャワー、噴水などの蒸気・ミスト吸入で感染〈br/〉 重症のレジオネラ症と軽症のポンティアック熱を発症する可能性〈br/〉 咳・筋肉痛・発熱から呼吸困難・肺炎まで症状は幅広い〈br/〉 高温多湿で使用が増えるエアコンの管理が重要〈br/〉 気候変動と猛暑でレジオネラ菌が広がるリスク〈br/>

猛暑と高温多湿の天候が続くなか、エアコンなどの冷房・空調機器や設備の使用が増え、いわゆる 「エアコン病」とも呼ばれるレジオネラ菌感染症の拡大が懸念されています。 レジオネラ菌は、大型建物の冷却塔水、 温水設備、 シャワー、 噴水、 給水設備など、比較的温かい水の中で増殖しやすいとされています。 人体がレジオネラ菌に汚染された水滴を呼吸器から吸い込むと、軽症のポンティアック病や重症のレジオネラ症など、関連疾患にかかる可能性が高まります。

英紙ガーディアンなどは、今年 6月末に米ニューヨーク・マンハッタンの高級住宅地イーストビレッジで、比較的短期間に数十人が集団発症し、警戒感が強まったと報じました。

疾病管理庁によると、レジオネラ症は 3類の法定感染症です。 特に 50歳以上の高齢者や慢性肺疾患のある人、 糖尿病の患者、 免疫機能が低下している人などは注意が必要です。 重症化するリスクが高いためです。 このため、冷却設備などを使用する多衆利用施設では、徹底した衛生管理が欠かせないと指摘されています。

レジオネラ菌の一種 「レジオネラ・ニューモフィラ(緑色の棒状)」を、アメーバが触手を伸ばして包み込む様子を撮影した 2005年の電子顕微鏡写真。 ベルマモエバと呼ばれるこのアメーバは、冷却塔、 病院の給水管、 プールなどで、熱に強く人工的な水環境でもよく増殖し、レジオネラ菌の宿主や媒介体になり得ます。 自然界の微生物が互いに助け合い、相乗効果を得る例です。 温かい水が滞留する冷却設備を丁寧に清掃し、適切に管理する必要性を示す写真です。 写真=米疾病対策センター(CDC)

近年は、エアコンが高温時の 「冷房」 だけでなく、梅雨時など湿度が高い時期にも 「除湿」 で運転されるケースが増えています。 その分、こまめな清掃と、水がたまらないようにする対策が必要になります。 エアコンや冷房、 さらには暖房設備から滴り落ちてたまった水で、レジオネラ菌が増殖しやすいためです。

今年は 1976年の米国在郷軍人会年次大会でのレジオネラ症集団発生から 50周年

「レジオネラ(Legionella)」という病原菌名は、在郷軍人を意味するレジオン(Legion)に由来します。1976年に集団感染の被害を受けた米国在郷軍人会(American Legion)にちなんだ名称です。 今年は、レジオネラ菌とレジオネラ症が発見されてから 50年に当たります。

経緯はこうです。 米国在郷軍人会は 50年前の 1976年 7月 21日から3日間、ペンシルベニア州フィラデルフィアのベルビュー・ストラットフォード・ホテルで年次大会を開きました。 開催地のフィラデルフィアと時期の 7月は、 1776年 7月 4日にフィラデルフィアで採択された米国独立宣言の 200周年を記念して選ばれました。 大会は 2000人を超える会員が集まるなか、滞りなく終了しました。

問題が表面化したのは、行事が終わった 7月 27日でした。39歳から 82歳に及ぶ会員が相次いで死亡したと報告されたのです。 被害者は疲労、 胸痛、 肺うっ血、 発熱の症状を訴えた後に死亡し、最終的な死因は心臓発作と推定されました。

迅速な疫学的発見と届け出で、実態把握と原因究明へ

こうした症状と死亡事案の疫学的解明が始まったのは、ペンシルベニア州ブルームズバーグで開業していたアーネスト・キャンベル医師の観察と迅速な報告がきっかけでした。 キャンベル医師は、同様の症状で死亡した自身の患者 3人が、いずれもフィラデルフィアの在郷軍人大会に参加していたという共通点を突き止めました。 医師はこれを直ちに州保健当局に報告しました。 調査の結果、問題の在郷軍人大会に参加した会員 149人と、ホテルおよび地域に関連する患者 33人の計 182人に似た症状が確認され、 このうち 29人が死亡したと把握されました。 大規模な発生事例でした。

連邦機関の米疾病対策センター(CDC)が、病原体と感染経路を特定するための大規模調査に乗り出しました。 その結果、翌年の 1977年 1月、ある細菌が疾患の原因であることを突き止めました。 ホテルのエアコンシステムの冷却塔で汚染された水の中で増殖した当該細菌が、冷却・空調設備を通じて建物全体に広がったことが確認されました。CDC 研究チームは、発見した原因菌に 「レジオネラ(Legionella)」という名称を付けました。 集団感染の被害を受けた米国在郷軍人会(American Legion)にちなんだものです。

こうした経緯を経て、世界各地で冷暖房・換気の空調設備に関する新たな保健規定が整備され始めました。 夏になると空調関連の事業者や施設管理者が、レジオネラ菌の増殖と拡散を防ぐため、冷房システムの清掃や点検に取り組む理由です。

レジオネラ菌を吸い込むと、軽症のポンティアック病から重症のレジオネラ症まで発症の可能性

レジオネラ菌には複数の種類があり、 蒸気やミストの形で体内に吸い込まれることで、軽症から重症までさまざまな症状を引き起こします。 蒸気は、水を含む液体が蒸発したり沸騰したりして生じる透明な気体を指します。 ミストは、超音波加湿器から噴き出す白い霧のように、液体が噴霧され空気に触れて凝縮する際に生じる、白くかすんだ液体の粒子をいいます。

レジオネラ菌に感染すると、症状が軽いポンティアック熱から重症のレジオネラ症まで、さまざまな病気を発症する可能性があります。 大型建物の冷却塔水、 温水設備、 シャワー、 噴水などで汚染された水滴を呼吸器から吸い込んだ場合に、主に感染します。 都市部で汚染されたエアコンの空調設備の近くや水辺に頻繁に行くと、発症の可能性が高まります。 ただし、人から人への感染はほとんど起きないため、患者と接触しても病気がうつることはありません。

ポンティアック熱は急性の発熱性疾患です。 通常は 24〜48時間の潜伏期間を経て、倦怠感、 筋肉痛、 発熱、 悪寒など、インフルエンザに似た症状がみられます。 肺炎を引き起こさないため、危険性は低いとされています。 特別な治療をしなくても、 2〜5日以内に自然に回復するケースが大半です。 解熱薬などの対症療法で症状を和らげることもできます。

レジオネラ症では、咳、 発熱、 頭痛、 筋肉痛、 呼吸困難などの症状が現れ、重症の多発性肺炎へ進行して危険となることがあります。 レジオネラ症は、人口 10万人当たり 3人未満に影響する程度で、頻度の高い病気ではありません。 しかし、診断された患者の最大 10%が死亡するほど危険性が高いため、症状がみられた場合は、まず医師の診察を受けるのが望ましいでしょう。

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