
大熊製薬は、2型糖尿病治療薬「エンブロ」(一般名イナボグリフロジン)について、2型糖尿病患者を対象に脂肪肝指標の改善可能性を確認したと発表しました。血糖コントロールに加え、糖尿病に伴う併存疾患である脂肪肝の管理にもつながるかが焦点となります。
同社は9日、SGLT-2阻害薬に分類される「エンブロ」の肝脂肪症改善の可能性を示した研究結果が、SCI級の国際学術誌〈糖尿病、肥満、そして代謝〉に掲載されたと明らかにしました。SGLT-2阻害薬は、腎臓でブドウ糖の再吸収に関与するSGLT-2を阻害し、糖を尿として排出させる2型糖尿病治療薬の系統です。
研究は、糖尿病患者にしばしば合併する「代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)」に対し、エンブロが及ぼす影響を評価しました。2型糖尿病患者における代謝異常関連脂肪性肝疾患の有病率が増加する中、血糖コントロールだけでなく肝代謝の改善まで視野に入れた治療薬の重要性が高まっているためです。
代謝異常関連脂肪性肝疾患は、代謝機能の異常により肝臓に脂肪が過剰に蓄積する疾患です。2型糖尿病患者に多く合併し、放置すると肝疾患や心血管疾患につながる可能性があります。
研究チームは、エンブロの承認取得に向けて2型糖尿病患者587人を対象に24週間の治療効果を解析した臨床試験データ3件を統合し、分析しました。脂肪肝の指標は、肝脂肪症指数(HSI)とフラミンガム脂肪症指数(FSI)で評価しました。研究開始時点で、全患者のおよそ半数が脂肪肝を合併していました。
解析の結果、プラセボ群に比べてエンブロ投与群では、脂肪肝指標が低下した患者の割合が高いことが分かりました。HSIの評価が可能だったエンブロ投与群75人を分析したところ、脂肪肝患者は従来の36人(48.0%)から12人(16.0%)へ減少し、従来の脂肪肝患者の約67%がHSI基準で正常範囲へ改善しました。別の指標であるFSIでも、リスク群は従来の31人(41.3%)から12人(16.0%)へ減少し、リスク群患者の約61%が正常範囲へ改善しました。
同系統の治療薬「ダパグリフロジン」と比較したところ、エンブロ投与群はダパグリフロジン投与群よりも脂肪肝指標をより大きく改善しました。HSIの変化幅は、エンブロ投与群が-4.51で、ダパグリフロジン投与群(-3.49)を上回りました。
同社は、今回の研究について、エンブロが2型糖尿病患者の脂肪肝指標を改善し得ることを確認した初の研究である点に意義があると説明しました。同系統薬のダパグリフロジンと比べても、一部の脂肪肝指標で統計学的に有意な改善を示したということです。
本論文の責任著者であるチョン・インギョン氏(カンドン慶熙大学病院・内分泌内科教授)は、「今回の研究は、エンブロが2型糖尿病患者に対して血糖コントロールだけでなく、肝内脂肪蓄積の減少にも前向きな影響を及ぼす可能性を初めて確認した点で意義があります」と評価しました。
共同責任著者のチョン・チャンヒ氏(ソウル峨山病院・内分泌内科教授)は、「特に同系統薬と比較して一部の脂肪肝指標でより優れた改善効果を示しただけに、今後、代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)を合併する患者の治療戦略において、エンブロの役割をさらに期待できるでしょう」と述べました。
パク・ヒョンチョル氏(大熊製薬ETCマーケティング本部長)は、「今回の研究結果は、エンブロが血糖コントロールを超えて脂肪肝指標の改善という追加の治療ベネフィットを提供し得ることを示しています」とした上で、「代謝異常関連脂肪性肝疾患は2型糖尿病患者で約65%以上という高い合併率を示すだけに、実臨床の現場でエンブロの治療的価値が広がる可能性を裏付ける根拠になり得ます」と語りました。
