平均74歳、ほぼ運動せず…1日4分の筋トレで12週間後に体が変わった

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1日4分・4つの動作…転倒と介護施設入所を予測する3指標が改善

高齢の男性が階段の手すりをつかんで移動している。米国の研究チームは、1日4分の簡単な筋力トレーニングでも移動能力やバランス能力に関する指標が改善し得ると報告した。写真=ゲッティイメージバンク

母が最近、スーパーに1人で行かなくなった。バス停1つ分の距離だが、歩いて行く自信がないからだ。多くの高齢者が抱えるこうした不便さは、1日4分の運動で変わる可能性がある。

「移動能力が低下した高齢者に効果が見込める、最も短い運動時間はどれくらいか」

米ペンシルベニア州立大学(Penn State)医学部の研究チームは2020年から、この問いに取り組んできた。研究チームはこのプロジェクトをFAST(Functional Activity Strength Training・機能的活動筋力トレーニング)と名付けた。6年にわたる探索の末に得た答えを、ペンシルベニア州立大学が9日(現地時間)に発表した。

74歳が手を挙げた理由

最初の実験(FAST-1)では、健康な高齢者24人にスクワットとプッシュアップをそれぞれ30秒ずつだけ行わせた。指導者なしで、1人で。6カ月後、スクワットの回数は6.2回増えた。

可能性を確認したチームは、条件をより厳格に変更した。

今回は実際に歩行の不便さを訴える患者を集めた。病院の患者名簿から、65歳以上の歩行障害のある成人に郵送で案内文を送った。415人を検討し、最終的に97人が参加資格を得た。

平均年齢は74歳、週あたりの運動時間は平均18分。ほとんど動かないグループだった。郵送を受け取り、自ら参加を選んだ人たちである。

2021年に始まったこの実験は、翌年初めに終了した。論文審査を経て、今年3月、国際学術誌〈〈PLOS One〉〉の3月号に掲載された。

なぜ1日4分の筋力トレーニングなのか

処方はシンプルだった。プッシュアップ・椅子からの立ち上がり・エクササイズバンドの引っ張り・階段昇降をそれぞれ30秒行い、30秒休む。1日の合計は4分だった。いずれも日常の移動能力と直接結びつく動作だった。

研究チームが先に実施したアンケートでは、歩行障害のある高齢者の84%が「45分を週3回」より「1日5分」の運動を好んだ。短くなければ始められず、短くなければ続かないという判断からだ。自宅で行う方式で、2・4・8週目にビデオ通話でコーチングを受けた。

12週間後、転倒リスク指標が変わった

改善が確認された。30秒間に椅子から立ち上がった回数は4.2回増加。片脚立ちで耐える時間は3.6秒延長。座ってから立ち上がるまでの時間は2.3秒短縮。運動を行った日は全体の81%を占めた。報告されたけがはなかった。

この変化が小さく見えるなら、見方を変える必要がある。

医師が高齢者の機能低下を判断する際に用いる基準は別にある。 介護施設に入所する可能性、転倒リスク、今後も1人で歩けるかどうかだ。この基準で見ると、歩行障害のある高齢者は、そうでない高齢者に比べて介護施設入所リスクが大きく高いという研究がある。数十倍まで差があるとの報告も出ている。

研究を統括したクリストファー・シアマンナ教授は、今回の実験で測定した「椅子からの立ち上がり」「片脚立ち」「座ってから立ち上がる動作」が、まさにその判断基準に当たると説明した。教授は「これらの数値が、介護施設入所の可能性、転倒リスク、歩行能力を維持できるかどうかを示してくれる」と語った。

ただし、この研究で押さえておくべき点がある。心血管系の高リスク症状がないこと、認知機能のスクリーニング検査を通過すること、インターネットを利用できることが条件だった。脱落者の半数近くは、歩行補助具なしでは歩けない高齢者だった。

つまり、歩行障害はあるものの、心臓・認知機能に大きな問題がなく、インターネット利用が可能な高齢者が研究に参加した形だ。より重い歩行障害や認知機能低下のある高齢者にも同じ効果が出るかどうかは分からない。

それでも、この研究結果は興味深い。ほとんど運動をしてこなかった74歳の高齢者が、1日4分の運動で、12週間という短期間に実際に変化したからだ。

シアマンナ教授は運動を「自由」の問題として捉えた。「自由とは、やりたいことができる能力です。20年後に自分が何をしたいのかを考え、そのために今トレーニングするのです」

普段は運動を避けていた高齢者のうち、自ら手を挙げた人たちは、1日4分を積み重ねることで3カ月後には歩き方から変わった。どれだけ長く運動するかより、今すぐ少しでも始められるかどうかの方が重要だった。

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