「下腹だけぽっこり?」中年女性の腹部脂肪増、心血管疾患のサインの可能性

| 入力:

中年女性の腹部脂肪増加と心血管疾患リスク

中年女性は、閉経前後のエストロゲンホルモンの変化が重なることで、脂肪が臀部や太ももよりも腹部に蓄積しやすくなります。写真=ChatGPT生成

体重は以前とあまり変わらないのに、下腹だけが目立って出てくる場合、単なる「年齢のせい」とは言い切れません。中年女性では、閉経前後に脂肪が腹部へ集まりやすくなる変化が起こりやすいからです。とくに、腹部の臓器の周囲にたまる内臓脂肪は、血糖・血圧・コレステロールの問題と重なると、心血管の健康を脅かすことがあります。

体重はそのままなのにウエストだけ太くなる…閉経前後で変わる脂肪分布

中年期は、加齢に伴って筋肉量が減り、エネルギー消費量も低下するため、体脂肪が増えやすくなります。ここに閉経前後のエストロゲンの変化が重なると、脂肪が臀部や太ももよりも腹部側に蓄積しやすい傾向が強まります。実際、閉経移行期には腹部の内臓脂肪の増加と除脂肪量の減少が目立つと報告されています。

そのため、体重計の数値だけで体の変化を判断するのは難しいです。体重がほとんど増えていなくても、ウエスト周囲径が大きくなることがあるためです。遺伝的要因や活動量、摂取カロリー、飲酒や喫煙なども腹部脂肪の蓄積に影響するため、「ホルモンのせい」だけで説明するのも適切ではありません。

手でつまめる脂肪より怖い…臓器を取り囲む「内臓脂肪」

お腹につく脂肪は、すべて同じではありません。皮膚のすぐ下にあり手でつまめる皮下脂肪と異なり、内臓脂肪は腹腔の深いところで臓器を取り囲みます。内臓脂肪が過剰に蓄積すると、高血圧や脂質異常症、高血糖・2型糖尿病、心血管疾患のリスクが高まります。

とくにウエスト周囲径は、体格指数(BMI)では見落とされ得る腹部肥満をみる指標です。標準体重の人でも、腹部に脂肪が多く集中している場合は安心できません。米国心臓協会も、腹部肥満と内臓脂肪はBMIとは別に、心血管疾患リスクと関連すると説明しています。

白パン・甘い飲料から減らしましょう…お腹の脂肪をつくる「隠れたカロリー」を遮断

下腹を減らそうとして、ご飯を無条件に抜くやり方は長続きしにくいです。まずは、砂糖が多く入った飲料やデザート、菓子のように、カロリーは高いのに満腹感が低い食品の摂取頻度を減らすのが現実的です。食事は野菜と全粒穀物の比率を高め、魚・豆・豆腐・赤身肉などでたんぱく質を十分に摂るのがよいでしょう。

脂肪も種類を見極める必要があります。バターや脂肪の多い肉類のように飽和脂肪が多い食品を頻繁に食べるより、魚・ナッツ類・オリーブオイルなど不飽和脂肪を供給する食品に一部置き換えるほうが、心血管の健康に有利です。アルコールもカロリーを上乗せし、腹部脂肪の増加に影響し得るため、摂取量を減らすのが望ましいです。

お腹だけを落とす運動はありません…歩行に「筋力トレーニング」を加えましょう

腹筋運動をたくさんしても、下腹の脂肪だけを選んで落とせるわけではありません。腹部肥満を減らすには、全体のエネルギー消費を増やし、体脂肪を減らすアプローチが必要です。速歩・自転車・水泳といった有酸素運動を規則的に行いながら、筋力トレーニングを併用すると、体重管理だけでなく、加齢で減少する筋肉を守るうえでも役立ちます。

とくに中年女性にとって筋肉は、体重に劣らず重要です。筋肉量が減ると、1日のエネルギー消費も減り、同じ量を食べても体重管理が難しくなることがあります。最近の研究でも、閉経移行期は心血管の健康を改めて点検し、生活習慣を改善すべき重要な時期として挙げられています。

下腹が急に厚くなった場合は、見た目の変化としてだけ捉えるのではなく、血圧・血糖・コレステロールに加えてウエスト周囲径まで一緒に確認するきっかけにするのがよいでしょう。

×