毎日運動し、タンパク質飲料を飲んだら…予想外の変化が?

| 入力:

12週間の運動・タンパク質補充、認知症病棟でのケア時間が28分減少

毎日簡単な筋力運動を行い、タンパク質が強化された栄養飲料を摂取した認知症患者で、ケアに必要な時間が有意に減少したという研究結果が発表されました。写真=ゲッティイメージバンク

毎日簡単な筋力運動を行い、タンパク質が強化された栄養飲料を摂取した認知症患者で、ケアに必要な時間が有意に減少したという研究結果が発表されました。身体機能が改善され、自分でできる日常活動が増えたことによる変化だと分析されています。

スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究チームは、長期介護施設に住む高齢者を対象にしたOPEN(Older Persons Exercise and Nutrition)無作為研究のデータを分析した結果を発表しました。この結果は「Impact of an exercise and nutrition program on caregiver time with residents in institutional care—A secondary analysis」というタイトルで国際学術誌〈アルツハイマー病と認知症(Alzheimer's and Dementia)〉に掲載されました。

12週間の毎日の運動とタンパク質摂取、認知症病棟での顕著な効果

研究はストックホルム地域の8つの介護施設に住む102人を対象に行われました。この中で52人の介入群は、12週間にわたり1日に何度も「座って立ち上がる」運動を繰り返し行い、1日2回タンパク質が強化された栄養飲料を摂取しました。研究チームは、衛生管理、着替え、移動など日常生活を行うために必要なケア時間を測定し、対照群と比較しました。

全参加者を統合分析した際には、両グループ間に有意な差は見られませんでした。しかし、病棟の種類別に分析すると、認知症病棟で顕著な差が確認されました。

認知症病棟では、介入群の1日あたりの平均ケア時間が55分で、対照群(83分)に比べて有意に少なかったです。一方、身体疾患病棟では有意な差は観察されませんでした。

研究を主導したアンダース・ウィモ研究員は「認知症病棟の居住者は身体機能の改善の余地が大きかった可能性がある」と述べ、「運動と栄養補充を通じて身体機能が向上し、自分で行える活動が増えたのではないか」と説明しました。

二次分析…解釈には慎重が必要

研究チームは、長期介護施設に住む高齢者は栄養失調、筋肉減少症、虚弱のリスクが高いと指摘しました。これは健康悪化だけでなく、生活の質の低下やケアの負担増加につながると説明されています。

既存のOPEN研究では、当該プログラムが筋肉量や身体機能、栄養状態の改善にポジティブな影響を与えることが確認されています。今回の研究は、その効果が実際に「ケア時間」の減少につながるかどうかを追加分析したものです。

このように今回の研究は既存の無作為研究データを活用した二次分析であり、ケア時間が最初から一次主要結果指標として設計されたわけではありません。これに対し研究チームは結果の解釈に注意を促し、「今後、ケア時間を主要評価指標として設定し、人員レベルや業務体系など組織的要因も考慮した追加研究が必要である」と強調しました。

[よくある質問]

Q1. どのような運動をしましたか?
1日に何度も「座って立ち上がる(sit-to-stand)」運動を繰り返し行いました。特別な器具は必要なく、椅子さえあれば可能な簡単な筋力運動です。

Q2. タンパク質飲料はどれくらい摂取しましたか?
1日2回、タンパク質が強化された栄養補充飲料を摂取しました。これは筋肉量の維持と栄養状態の改善を目指した補充戦略です。

Q3. すべての認知症患者に効果がありますか?
今回の研究では認知症病棟でのみケア時間の減少効果が確認されました。身体疾患病棟では有意な差は見られず、二次分析研究であるため解釈には慎重さが必要です。

×