
体重を減らそうと食事量を調整し、運動も続けているのに、なかなか体重が変わらないという人がいます。特に中年以降は、おなかや腰回りに脂肪がつきやすくなり、以前と同じ方法でダイエットをしても、期待したほどの効果を感じられないことがあります。努力の割に体重が変わらないなら、食事量をさらに減らす前に、生活習慣や体の状態を見直すことが大切です。
特に、おなかにたまる内臓脂肪はインスリン抵抗性を高め、血糖値や血圧、血中脂質に悪影響を及ぼす可能性があります。内臓脂肪が過剰に蓄積すると、2型糖尿病や心血管疾患など、さまざまな慢性疾患のリスクが高まります。しかし、減量に何度も失敗すると意欲が低下し、ダイエットを諦めやすくなります。食事と運動に気を配っても痩せにくい場合は、次のような原因がないか確認してみましょう。
◆ 加齢による筋肉量の減少
年齢を重ねると、若い頃と同じ食事量や運動量を保っていても、体重管理が難しくなることがあります。加齢に伴って筋肉量が減ると、消費するエネルギーも減るためです。身体活動量の低下や睡眠の質の悪化も、体重増加に影響します。以前効果があったダイエット法をそのまま繰り返すのではなく、現在の活動量や筋肉量、食習慣に合わせて方法を調整する必要があります。
特に女性は、閉経前後に体脂肪のつき方が変わることがあります。エストロゲンの変化や加齢による筋肉量の減少などが重なり、お尻や太ももよりもおなかに脂肪がつきやすくなる場合があります。この時期は、むやみに食事量を減らすより、タンパク質を十分にとり、筋力トレーニングも行って筋肉量を維持することが重要です。有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせ、睡眠や食事の時間を規則正しくすることは、体重や腹囲の管理に役立ちます。
◆ 炎症を招く食事
精製された小麦粉で作ったパンや菓子、砂糖を多く含む飲料や加工食品を頻繁にとると、減量が難しくなることがあります。こうした食品は少量でも多くのカロリーを摂取しやすく、満腹感が長続きしないため、間食や食事の追加につながりがちです。
特に精製された炭水化物や糖類の多い食事は、血糖管理に不利で、長期的にはカロリーの過剰摂取や体脂肪の蓄積を招く可能性があります。肥満そのものも炎症と関係していますが、減量には食事全体の質を改善することが重要です。
普段から野菜や果物、豆類、ナッツ類など多様な食品をとりましょう。白米や白いパンばかりでなく、玄米や全粒粉パンなど、食物繊維が豊富な食品を適度に取り入れることも勧められます。さまざまな栄養素をバランスよくとる食習慣は、体重と代謝の健康を長期的に管理する助けになります。
◆ 運動は十分だと油断する
運動を続けているのに体重が減らない場合は、実際の運動量と食事量をあわせて確認する必要があります。運動でかなりのカロリーを消費しても、運動後に空腹が強まり、間食や食事量が増えれば、消費した分のかなりを補ってしまうことがあります。「運動したから普段より多く食べても大丈夫」という習慣が続くと、減量のペースが落ちかねません。
効果的に体重を管理するには、有酸素運動と筋力トレーニングを適度に組み合わせ、急に運動量を増やすのではなく、続けられる計画を立てることが大切です。食事量を記録したり、間食や飲料の摂取を見直したりすることも役立ちます。運動量を増やすことと同じくらい、運動後の食べ過ぎを抑えることも重要です。
◆ ダイエットを妨げる病気
食事と運動に継続して気を配っているのに、予想に反して体重が増えたり、強い疲労感や無気力感があったりする場合は、健康状態を確認する必要があります。必要に応じて、空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビンA1c)の検査で血糖の状態を確認するとよいでしょう。血糖管理に問題があれば、医療者の助けを借りて、食事や運動、必要な治療に取り組むことが大切です。
うつ病や睡眠障害も体重と関係があります。気分の落ち込みや疲労感が強いと身体活動量が減り、食習慣が変わることがあります。また、一部の抗うつ薬は食欲や体重に影響する可能性があります。ただし、体重が増えたからといって自己判断で薬をやめず、処方した医療者に相談し、薬の影響や変更の可能性を確認することが望まれます。
甲状腺機能低下症のように代謝に影響する病気も、体重増加や疲労の原因になります。また、一部のステロイド薬や精神科の薬、ホルモンに関わる治療薬は体重に影響することがあります。ただし、体重が増えた原因を必ず病気や薬だと決めつけてはいけません。体重の変化が続いたり、ほかの症状を伴ったりする場合は、服用中の薬と健康状態をあわせて評価してもらうとよいでしょう。
