毎日7000歩でも階段がつらい理由 高齢期に必要な「踏ん張る力」

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【ロコモティブシンドローム】⑤ 歩くだけでは補えない高齢期の下肢筋力

日本の整形外科領域では、骨・関節・筋肉・神経の衰えによって移動能力が低下した状態を「ロコモティブシンドローム」と定義し、フレイルや要介護に至る前段階を捉える健康指標として活用しています。コメディドットコムは専門家の協力を得て、靴下を履く、階段を上る、横断歩道を渡るといった日常生活で先に現れやすい体のサインを、全6回にわたり点検します。 〈編集者注>

きょうも屋外を歩いた。さらにジムでも歩き、また走った。だが、こうした努力だけでは足りないこともある。 写真=クーリップアートコリア

スマートフォンの歩数は悪くない。1日7000歩、多い日は1万歩も記録する。

それなのに不思議だ。階段は上るほどつらくなり、低い椅子から立ち上がるときは膝に手をつく。バスに乗り込むときも脚が重い。

「これだけ歩いていれば運動は十分ではないのか?」

そう感じる人は多い。歩行は確かに重要で、心肺機能の維持や活動量の確保に役立つ。ただ、歩くだけで高齢期の移動能力をすべて守るのは難しい。

歩数より重要なのは「機能」です

「ロコモティブシンドローム」は、骨、関節、脊椎、筋肉、神経の機能が一体となって弱り、歩いたり動いたりする力が落ちた状態を指す。日本語では「運動機能低下症候群」とも呼ばれる。予防には、単にたくさん歩くよりも、立ち上がる力、踏ん張る力、バランスを取る力を併せて養う必要がある。

パク・ヒョンテ 東亜大学教授(デジタルヘルスケア研究室)は「ロコモティブシンドロームは、核心指標として歩数だけを見るわけではない」と説明する。歩行速度、歩幅、歩行の変動性、椅子から立ち上がる力、バランス、立ち上がって歩く検査(TUG)、運動継続率といった機能指標も併せて確認すべきだという。

ここが重要だ。1日の歩数がそれなりにあっても、階段、起立、バランス能力は低下し得る。

平地を長く歩くことと、椅子から体を押し上げることは別の動作だ。横断歩道を渡る際に必要な速歩、バスに乗る際に必要な片脚支持、階段で体を持ち上げる力は、別途鍛える必要がある。

「別に鍛えた」力が、実際に歩きを変えました

この考え方を裏づける研究結果もある。日本で実施された8週間のスマートフォンアプリ基盤プログラムでは、40歳以上の成人47人に対し、片脚立ちとスクワット運動を動画と音声で定期的に案内した。その結果、立ち上がって歩く検査(TUG)の時間は平均9.0秒から7.5秒へ、運動機能質問票(GLFS-25)のスコアは18.7点から11.7点へと低下した。

高齢者79人を対象にした5週間の無作為化比較試験では、ロボット型ウェアラブル機器を用いた訓練が、より明確な差を示した。訓練群は歩行速度が毎秒0.18m速くなり、立ち上がって歩く検査時間は1.4秒短縮した。椅子から5回連続で立ち上がる時間と、ロコモティブシンドロームのリスク(GLFS-5)も併せて改善した。歩行とは別に「立ち上がり、踏ん張る」訓練を加えることで、機能がより大きく改善したことを意味する。

椅子から立ち上がる力は別に必要です

階段を上る、椅子から立ち上がるといった動作では、太ももと臀部の筋肉を多く使う。これらの筋肉は体を上へ押し上げ、片脚に体重が乗ったときにバランスを保つ。転びそうになった瞬間に体を支えるのも、これらの筋肉の役割が大きい。

歩数が多くても筋力トレーニングが不足していれば、階段や起立動作は引き続き難しくなり得る。平地を長く歩く運動は体を前へ進めるのには役立つが、体を持ち上げて踏ん張る力まで十分に高めることはできない。

ユ・ジュニル 仁荷大学病院教授(整形外科)は「運動を、痛み治療の後に付いてくる付録のように見てはいけない」と強調する。痛みをコントロールした後に再び動き、レジスタンス運動とバランス運動で生活機能を取り戻す過程こそが治療の核心だという。

運動は「何をしたか」より「続けているか」が重要です

筋肉には材料も必要だ。たんぱく質の摂取が不足すると、筋力トレーニングをしても筋肉の回復が十分でない可能性がある。食事量が減った高齢層は、特にたんぱく質摂取を確認したい。肉、魚、卵、豆腐、豆類などを毎食に分けて食べる方法が役立つ。

ビタミンDも併せて確認したい。ビタミンDは骨の健康と筋機能に関与する。日光をほとんど浴びない人や骨粗しょう症リスクがある人は、医療者に相談し、必要な検査を受けるのが望ましい。

運動処方は紙に書いて渡して終わりではない。スマートフォンアプリ、ウェアラブル、遠隔リハビリシステムは、運動を実施したか、どれほど継続したか、機能が実際に改善しているかを確認するツールになり得る。実生活の中で継続してこそ、初めて効果が出る。

痛みのある人の運動は変える必要があります

ただし、膝や腰に痛みがある人は、「運動しなければならない」という言葉だけを受けて、すぐに階段運動やスクワットを始めると、かえって逆効果を招きかねない。痛みが強い膝に体重負荷の大きい運動を繰り返すと、むしろ歩く力が落ちる可能性があるためだ。脊柱管狭窄症がある場合は、長く歩く間に脚のしびれがさらに強くなることもある。

まず痛みの原因を確認し、可能な範囲で運動を調整する必要がある。水中歩行、室内自転車、軽いレジスタンス運動のように、関節への負担を減らす方法が求められる。

まとめると、たくさん歩くだけでは不十分だ。再びいきいきと歩く力は、踏ん張って立ち上がる力から始まる。年齢を重ねるほど筋力トレーニングが必要な理由である。そして、その踏ん張って立ち上がる力は、1回の運動ではなく、長く続く習慣の中でつくられる。

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