筋肉は保たれているのに歩きにくいのはなぜか…鍵は「移動システム」

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[ロコモティブシンドローム]② サルコペニアは筋肉、フレイルは全身…歩く力は骨・関節・神経まで含めて評価

私たちは一生歩いてきたはずだが、あらためて考えると「歩く」という行為は思いのほか複雑だ。体のさまざまな機能がきちんと支えてこそ、安定して歩ける。写真=クリップアートコリア
私たちは一生歩いてきたはずだが、あらためて考えると「歩く」という行為は思いのほか複雑だ。体のさまざまな機能がきちんと支えてこそ、安定して歩ける。写真=クリップアートコリア

年齢を重ねると、「筋肉が落ちた」と感じる人は多い。実際、筋肉量や筋力が低下すると、椅子から立ち上がりにくくなり、階段を上るのもつらくなる。ただ、高齢期の歩行の問題を筋肉だけで説明するのは十分ではない。

歩くという動作は、想像以上に複雑だ。骨が体を支え、関節と脊椎が動きをつなぐ。筋肉は体を前へ押し出し、神経はバランスと方向を調整する。どれか一つが揺らぐだけでも歩き方は変わり、複数の機能が同時に弱ると、歩く力はさらに早く低下する。

「ロコモティブシンドローム」(Locomotive Syndrome)は、こうした発想に立つ。骨、関節、脊椎、筋肉、神経で構成される「移動システム」全体が弱くなり、歩いたり動いたりする能力が低下した状態を指す。日本語では「運動機能低下症候群」とも呼ばれる。

サルコペニアは「筋肉」、フレイルは「全身」、ロコモティブは「移動」

この3つは混同されやすいが、焦点は異なる。サルコペニアは筋肉量と筋力の低下に着目する。フレイルは体重減少、疲労、活動低下、歩行速度低下、筋力低下など、身体全体の脆弱性が増す状態だ。ロコモティブシンドロームは、その中でも「移動能力」を重点的に評価する。歩く、立つ、階段を上る、転ばないための力である。

3つは完全に切り離された概念ではない。サルコペニアがあるとロコモティブシンドロームのリスクが高まり、ロコモティブシンドロームが進むと身体的なフレイルと重なることがある。

ただ、出発点が違えば、評価や介入の考え方も変わる。キム・ミジ慶熙大学医学部教授(融合医学科学教室)は「サルコペニアは筋肉の指標で診断しますが、ロコモティブシンドロームは移動機能全体を基準に評価します」と説明し、「腰や関節に問題があれば、自然と歩く力も落ちます」と語った。「筋肉だけを鍛えればよい」と単純化するのが危ういのは、このためだ。

資料=キム・ミジ 慶熙大学教授
資料=キム・ミジ 慶熙大学教授

例えば、変形性膝関節症があると、痛みのために歩く量が減る。脊柱管狭窄症があると、少し歩いただけで休まなければならない。骨粗しょう症があると、1回の転倒が骨折につながることがある。このように神経機能や骨・筋肉の機能が低下すると、バランスも一緒に崩れていく。

体の支えと連結部、エンジンを一体で見る必要

高齢期の移動能力を車に例えると分かりやすい。骨は車体を支える骨格だ。関節と脊椎は動きをつなぐ連結部に当たる。筋肉はエンジンで、神経は操舵装置やセンサーに近い役割を担う。エンジンが良くても、車輪や操舵装置が不安定なら安全に走れない。

人の体も同じだ。太ももの筋肉がある程度残っていても、膝の痛みが強ければ歩きにくくなる。骨密度が低いと、転んだ瞬間に骨折リスクが高まる。腰部の狭窄が強い場合は、脚の筋力よりも、しびれや痛みが先に足を引っ張る。ユ・ジュニル仁荷大学病院教授(整形外科)も「膝が痛いからと膝だけを見て、腰が痛いからと腰だけを治療していると、患者の歩行機能がなぜ下がり続けるのか説明できないことが少なくありません」と述べた。

ロコモティブシンドロームは、こうした個別の問題を「一人の移動能力の問題」として統合して捉える考え方だ。膝、腰、筋肉、骨をそれぞれの疾患としてだけ見るのではなく、一人の人が歩く力を失っていく過程として見る、ということでもある。

歩く力は「全体システム」から生まれる

高齢期の健康の要点は、病名を一つ多く知ることにあるのではない。なぜ以前のように歩けないのか、何が自分の歩みを妨げているのか、どこから回復させるべきか――そこから考える必要がある。

筋肉を守ることは重要だ。しかし、それだけでは十分ではない。関節の痛みを減らし、脊椎由来の神経症状を確認し、骨粗しょう症を管理し、バランス感覚を取り戻す取り組みを併せて行う必要がある。

再びいきいきと歩く力は、脚の筋肉だけから生まれるのではない。体の移動エンジン全体が一緒に回り始めて、初めて取り戻せる。

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