インプラントを過信して「ガリガリ」かんだら歯が「ポキッ」…破損を防ぐポイント

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インプラント破損の事例3つ…補綴物の破損、スクリューの緩み・破断、歯槽骨と人工歯根の吸収/インプラント治療を受けた人の58%、各種の機械的合併症を経験

女性がインプラントの模型を手にしている。インプラント治療を受けた患者の約58%が各種の機械的合併症を経験するという調査結果がある。予防策をきちんと守れば、人工歯をより長く使える。写真=ゲッティイメージズバンク

インプラント治療を受けた人の中には、人工歯は天然歯より丈夫だと誤解している人が少なくありません。治療が順調に終わると、実際にそう感じる場面もあります。その結果、干しスルメやジャーキー、軟骨、カクテキなどを選ばずに強くかみ、補綴物を壊して歯科を再受診するケースもみられます。

インプラントは構造上、粘りが強く硬い食品に弱いとされています。天然歯と、インプラント治療後の人工歯の決定的な違いは、歯根膜の有無です。天然歯には、歯と骨の間でクッションの役割を果たす歯根膜があります。歯根膜が咀嚼時の衝撃を吸収し、分散します。

一方、インプラント治療後の人工歯は、歯槽骨に人工支柱が直接結合する「骨結合(オッセオインテグレーション)」構造で固定されています。歯根膜のように衝撃を吸収するクッション構造がありません。粘りが強く硬い食品をかむ際に生じる圧力が、補綴物と歯槽骨にそのまま伝わります。

ソウル大学歯学部の従来研究(2023年5月)では、インプラント治療を受けた人の約58%が各種の機械的合併症を経験したことがあると報告されました。歯科患者428人のインプラント898本を14年間にわたり長期観察した結果です。

合併症では、スクリュー(ねじ)の緩みが最も多くみられました。補綴部位を支えるアバットメントや、人工歯根そのものに破折(折れること)が生じる例も少なくありませんでした。アバットメント(Abutment)は、歯槽骨に埋入した人工歯根(歯根、フィクスチャー=Fixture)と、外側の最終補綴物(クラウン)を強固に連結する支柱です。さらに、臼歯部に埋入したインプラントは、他部位に埋入したものより、機械的欠陥や破損を起こすリスクがはるかに高いことも示されました。

インプラント治療後に無理に食品をかんだことで起きる機械的破損は、補綴物の破折、内部構成部品の破損、歯槽骨と人工歯根の損傷の3タイプに大別できます。第1は、最も外側にある頭の部分に当たる人工歯の補綴物が割れるケースです。干しスルメやカクテキ、ワタリガニの醤油漬けの殻、ナッツ類のように硬く粘りのある食品を無理にかむと主に起こります。頭の部分を構成する特殊セラミックやジルコニアが強い圧力に耐えられず、欠けたり割れたりします。その結果、鋭くなった断面で舌や頬の内側を切ったり、歯と歯の間に食べ物が強く詰まったりする不快感が生じます。

第2は、頭の部品と人工歯根をつなぐ内部構成部品が破損するケースです。肉の筋やジャーキーなどを水平方向にひねるようにかむ「すり臼型咀嚼」の癖がある人に多くみられます。インプラントは垂直方向の圧力よりも、横方向にねじれる水平力に非常に弱いとされています。このため、補綴物を固定する内部のねじであるスクリューが緩んだり、折れたりしやすくなります。構成部品に問題が起きると、インプラントの歯が目立ってぐらつきます。重症化すると、補綴物が丸ごと外れることもあります。

第3は、最も深刻な段階である歯槽骨および人工歯根の損傷です。インプラント治療直後、歯槽骨と人工支柱が結合する骨結合期間に硬い食品を無理にかんだり、長期間にわたりこの部位に過負荷が蓄積したりすると起こります。クッションの役割を担う組織がないため、衝撃が骨へそのまま伝わります。その結果、歯槽骨内で人工歯根の周囲の骨が微細に吸収されます。支持基盤を失ったインプラントは、全体が揺れます。この場合は、既存のインプラントを完全に除去したうえで再治療(再埋入)を受ける必要があります。

◇インプラント破損の予防法= 破損を事前に防ぐ方法として、3つ挙げられます。第1に、インプラント治療後の1年間は特に注意が必要です。この時期は歯槽骨と人工支柱が強固に結合する骨結合が進むため、無理な力をかけないようにします。第2に、できるだけ食品を小さく切って食べるのが望ましいです。筋の多い肉や粘りのあるジャーキーはもちろん、硬いチョンガクキムチやカクテキもはさみで細かく切り、臼歯全体で力を分散してかむのが適切です。第3に、定期的に歯科健診を受け、適切な処置を取ることです。インプラントには感覚神経がないため、自分で咀嚼時の圧力を把握しにくいとされています。6カ月から1年に1回、歯科を受診してかみ合わせの高さ(咬合)を調整し、内部のねじ(スクリュー)が緩んでいないか点検を受けるとよいでしょう。

[よくある質問]

Q1. インプラントの補綴物が割れたり、ぐらついたりしているのに放置するとどうなりますか?

A1. インプラントの補綴物が割れて断面が鋭くなると、舌や歯肉を傷つけて二次的な炎症を起こす可能性があります。内部のねじが緩んでぐらつく状態を放置すると、水平方向にねじれる力が持続的に加わります。その結果、ねじが折れたり、歯槽骨内の人工歯根まで損傷したりする恐れがあります。異常を感じたら、直ちに歯科を受診して点検を受けてください。

Q2. インプラントを入れて間もないのですが、食事の際に注意すべき特別な期間はありますか?

A2. インプラント手術後の最初の1年間は、特に注意が必要です。この時期は、人工支柱と歯槽骨が固まり強固に結合する「骨結合」の重要な期間です。この期間に硬い、または粘りのある食品を無理にかんで過度な衝撃が伝わると、骨結合が十分に進まず、人工歯根周囲の骨が吸収されることがあります。

Q3. 睡眠中の歯ぎしりや、普段の食いしばりといった無意識の癖も、インプラント破損の原因になりますか?

A3. はい、なります。食事中は感覚神経が咀嚼圧(かむ力)を調整しますが、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりでは、普段の咀嚼力の最大2〜3倍に及ぶ無意識の過負荷が生じます。これは横方向にねじれる水平力(すり臼型咀嚼)を持続的に発生させます。ねじが折れたり、歯槽骨が吸収されたりする可能性があります。こうした癖がある場合は、歯科でマウスピース型の保護装置(スプリント)を処方してもらい、装着するのが望ましいです。インプラントを長く使ううえで役立ちます。 

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