
株式投資の話題になると、「投資センスのある人は別格だ」とか「株式投資が得意な人は脳のつくりから違う」といった言葉を耳にすることがある。実際、脳科学や行動経済学の研究では、投資の意思決定プロセスにおいて、感情と判断を担う脳領域が同時に働くことが報告されている。
ただし専門家は、投資成績は特定の「天才型の脳」によるというより、感情をコントロールする力、思考の癖、行動習慣といった要素との関連が深いと説明する。私たちが当然だと思い込んでいる投資の常識の多くが、実際の研究結果とは一致しないというのだ。とりわけ、男女の投資行動には興味深い違いが見つかっている。
「投資はIQ勝負?」…実際は大きな差はなかった
多くの人は投資の腕前を知能と結びつけて考えがちだ。株式市場を理解するには経済知識や分析力が必要なため、頭が良いほうが有利だという認識が根強い。実際、知能が高い人ほど金融情報を理解しやすかったり、投資に関心を持ちやすかったりする傾向があるのも事実だ。
スウェーデンの男性約50万人のデータを分析した研究では、IQが高い人ほど株式投資に参加する可能性が高かった。しかし、IQが高いほど市場参加や分散投資の傾向は強かった一方で、リターンの差は大きくないことが示された。研究チームは、投資成績は知能よりも行動戦略や意思決定の仕方に強く影響されると説明した。
「情報をたくさん知るほど有利?」…むしろ過剰売買になりがち
個人投資家は、ニュースや企業情報は多いほど良いと考えがちだ。確かに情報は投資判断の助けになり得るが、情報が過剰になると、かえって判断を複雑にしてしまうことがある。
ブラッド・バーバーとテレンス・オディーンによる行動ファイナンス研究では、取引頻度が高い個人投資家ほど平均リターンが低い傾向が示された。一方、長期的にリターンが高い投資家は、短期情報に振り回されるよりも投資戦略を維持し、取引回数を抑えるケースが多かった。
「男性のほうが投資が上手い?」…実際のリターンは女性が優位
投資の世界では、男性のほうがより積極的で攻撃的な投資傾向を示すという見方がある。複数の調査で、男性投資家のほうが株式取引をより頻繁に行う傾向が確認されている。
カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)のファイナンス研究で米国の個人投資家データを分析した結果、実際に男性は女性より取引回数がはるかに多かったものの、平均リターンはむしろ女性より低いことが示された。研究チームは、男性投資家の過信(オーバーコンフィデンス)が頻繁な売買につながる可能性があると説明した。
「投資は生まれつきのセンス?」…鍵は感情をコントロールする力
株式市場では「投資センス」という表現がよく使われる。しかし脳科学研究では、投資の意思決定は、感情反応と論理的判断が同時に働くプロセスとして説明される。
行動ファイナンス研究では、経験豊富な投資家ほど、市場が変動する局面でも感情反応が比較的安定して保たれる傾向があると分析している。専門家は、投資能力の核心は特別な才能ではなく、感情のコントロールとリスク判断能力にあると説明する。