[記者ノート]紛争のたびに持ち出される「イム・ソンギ精神」 誰にでも同じ物差しを

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ハンミグループ本社の全景。写真=ハンミ薬品

ハンミグループで経営権を巡る争いや内部対立が表面化するたび、決まって持ち出される言葉がある。「イム・ソンギ精神」だ。創業者で先代会長の経営哲学を指す総称として語られるが、特定の文言として定義されているわけではない。ただ、会社の公式資料では、イム会長が「人間尊重」と「価値創造」を経営理念に掲げ、自社技術でより良い薬をつくるという信念のもと、創造・革新・挑戦を続けることを重視してきたとしている。

ハンミグループは「イム・ソンギ精神」を本当に受け継いでいるのか。今年初めに表面化したパルタン工場の性的不祥事を巡り、ハンミサイエンスの個人筆頭株主であるシン・ドングク(ハニャン精密会長)と、ハンミ薬品のプロ経営者であるパク・ジェヒョン当時代表が対立した局面でも、この言葉が繰り返し取り沙汰された。当時、パルタン工場の幹部による性的不祥事疑惑が提起され、パク前代表は、この幹部の調査・懲戒の過程にシン会長が介入したと主張した。シン会長はこれを否定した。

対立が深まると、ソン・ヨンスク会長が前面に立ち、「創業者のイム・ソンギ先代会長も、ハンミの次世代経営はプロ経営者が中心となり、大株主は取締役会を通じてこれを支援する先進的なガバナンスへ進むべきだと強調していた」とした上で、「このようなことが再発しないよう、各社のプロ経営者は関連制度と内部統制システムを、より公正かつ透明に整備してほしい」と強調した。事実上、シン会長の経営介入を巡る論争を念頭に、プロ経営者の独立性を改めて打ち出した形だ。

今回は、そのソン会長自身が同じ原則で検証を受ける局面に置かれた。過去にハンミ薬品で勤務し、イム・ソンギ会長の秘書室を経たキム・テホ前キュアセラピューティクス代表が、ソン会長が法人カードを私的に使用したとの疑惑を提起したためだ。キム前代表は「イム・ソンギ精神が復元されなければならない」とし、「先代会長はコンプライアンス経営を強調しており、そのためには自浄作用と内部統制システムが機能しなければならない」と強調した。

キム前代表が提起した疑惑の事実関係は、まだ確定していない。ただ、ここで問いたいのは、どちらの主張が正しいかを裁くことではない。シン会長を巡る経営介入論争には、プロ経営者の独立性と「人間尊重」という原則が、ソン会長を巡る法人カード疑惑には、公正で透明な内部統制という原則が、それぞれ同じように適用されるべきだという点に異論はないだろう。社内規定に基づき受けられる支援であれば、その根拠を公開すればよい。規定を逸脱しているなら返還すれば済む。シン会長の経営関与も、正当な大株主の役割だったのであれば、その範囲と根拠を説明すればよい。判断は取締役会と監査委員会が行えばよいだろう。

ハンミグループでは対立が起きるたび、「イム・ソンギ精神」が相手の行動を評価する物差しとして持ち出されてきた。しかし、相手にイム・ソンギ精神を求める前に、自分自身に同じ物差しを当ててきたのかは疑問が残る。「人間尊重」は被害者保護と独立した調査で、プロ経営者体制は大株主の介入限界を明確にする規定で、公正と透明性はオーナーによる会社資産の使用を統制する監査手続きで、それぞれ示せばよい。

ハンミグループに足りないのは、「イム・ソンギ精神」を語る人ではない。すでにあまりにも多くの人がそれを口にしている。足りないのは、その精神が筆頭株主や創業者一族にも例外なく適用されるようにする仕組みだ。創業者の精神が、紛争のたびに呼び出されるスローガンではなく、実際の経営を動かす原則として残ることを願う。

パク・ビョンタク記者

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