
シャワーを浴びた。デオドラントもスプレーした。シャツも新しいものに着替えた。
それでも、昼休みごろになるとまた気になってくる。
確かに洗ったのに、なぜだろう。汗をかきやすい体質のせいだと思いがちだ。
だが、臭いの出どころは汗そのものではない。
臭いの発生源は汗ではなかった
わきの下や鼠径部から立ち上る臭いは、背中や額の臭いとは性質が異なる。
体には2種類の汗腺がある。
エクリン汗腺は全身に分布する。暑いときや運動時に大量に出る汗はここから分泌される。成分の大半は水分と塩分で、ほとんど臭いはない。
一方、アポクリン汗腺はわきの下や鼠径部など、毛の生える部位に多い。ここから出るのは、たんぱく質や脂質を含む粘り気のある液体だ。ただし、これも分泌された直後から臭うわけではない。
汗そのものには臭いがない。
臭いは汗が皮膚にとどまっている間に作られた。
シャワー直後はまったく臭わない。だが、1時間、2時間と時間がたつにつれて状況が変わる。臭いはその間に生じる。
皮膚の細菌がアポクリン分泌物を分解し、特有の臭い物質を作り出す。コリネバクテリウム、スタフィロコッカスなどが代表的だ。
汗が多いからといって臭いが強いわけではない
運動着がびしょ濡れになるほど汗をかいても、臭いが強くないことはある。逆に、汗の量は多くないのに体臭が強い人もいる。
決定的なのは量ではない。細菌の数や活動、皮膚環境のほうがより直接的に影響する。
男性はコリネバクテリウム系の細菌が多く、アポクリン汗腺もより大きく活発だ。衛生習慣が同じでも女性より臭いが強くなりやすい理由である。
なぜシャワーを浴びてもまた臭うのか
シャワー後に臭いが戻る理由は2つある。
1つ目は、細菌を洗い流しきれないことだ。石けんで洗っても、毛穴や毛の周囲には細菌が残る。これらの細菌はすぐに分泌物の分解を再開する。皮膚細菌は洗浄後、数時間以内に元の水準へ戻る。シャワーは臭いを消すのではなく、しばらく先送りにするにすぎない理由だ。
2つ目は衣類だ。確かに昨日洗濯したのに、運動着から臭いが立ち上ってくる経験は一度はあるだろう。ポリエステルなどの機能性素材は、脂質成分や臭い物質が繊維に残りやすい。洗濯後も完全に消えない場合がある。こうした素材では、熱い湯での洗濯や酢でのすすぎが有用だとする報告がある。
デオドラントは細菌の増殖を抑えたり、臭い物質を中和したりする。汗そのものを減らしたいなら、アンチパースピラント(制汗剤)の使用を検討しよう。汗を完全になくす製品はない。
今日から変えたいことを1つ
臭いが気になるなら、汗の量よりもまず細菌環境を見直すべきだ。わきの下を丁寧に洗い、しっかり乾かそう。運動着は素材と洗濯方法を改めて点検したい。
多くの臭いは、汗よりも、その後に残った環境が作り出す。
汗は体が懸命に働いているサインだ。臭いはその次の話である。
