淡水か塩水か、鼻うがいと浸透圧の知っておきたい豆知識

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[ペク・ウジンの心身探究]

花が咲き誇り、木の葉が青々としてくる良い季節だが、アレルギー性鼻炎に悩む人にとってはつらい時期でもある。鼻うがいは症状を和らげる効果が期待できる。写真=クリップアートコリア

花粉と黄砂、微小粒子状物質(PM)が一緒に飛び交うこの頃、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)がある人は、何かと厄介でたまらない。症状がない人でも、鼻づまりや息苦しさを感じることがある。

鼻腔洗浄(鼻うがい)の存在は知られているが、きちんと実践している人は多くない。鼻うがいをめぐる「知って得する雑学」をQ&A形式でまとめる。知っておくと役に立つ、ちょっと不思議な豆知識だ。

淡水:最近、鼻がつらくなる季節だよね。鼻うがいしてる?

塩水:してるよ。すっきりするから、朝晩やる習慣をつけた。

淡水:専門家は衛生面などの理由で生理食塩水でやるよう勧めるけど、日本の水道水もきれいじゃない? 俺は水道水でやってる。

塩水:水道水だと、鼻がツーンとしない?

淡水:別に大したことないよ。

塩水:生理食塩水なら、まったくツーンとしないでしょ。

淡水:そうなの?

2人のキャラクターのうち、淡水は筆者、塩水は筆者の知人である。塩水の発言には、専門的な医療・健康知識を適宜加えた。

生理食塩水で鼻うがいをする科学的な仕組み

塩水:浸透圧って知らない?

淡水:知ってるよ。濃度差があるとき、水が濃いほうへ移動する現象でしょ。例えば、塩辛いものを食べると血液の塩分濃度が上がって水分を引き込み、それで喉が渇く、みたいな。

塩水:鼻うがいの洗浄液も同じ。水道水は真水でしょ。真水を鼻に流し込むと、粘膜ではどんな反応が起きると思う? 浸透圧で水が粘膜の中に入っていく。だからツーンとするんだよ。

淡水:鼻の中がすっきりすれば、水道水でもいいじゃん。

塩水:疑い深いね。体液と濃度が近い生理食塩水のほうが、水道水より異物をしっかり洗い流せるよ。

鼻腔洗浄で期待できる効果には、花粉などアレルギー原因物質の除去、鼻水や痰の排出、粘膜の保湿などがある。

電解質飲料が真水より速く吸収される「秘密の扉」

淡水:浸透圧の話をもう少し。真水の水道水は浸透圧で粘膜を通過するって言ったよね? それなら小腸でも、真水のほうが電解質飲料より吸収が速いはずじゃない?

電解質飲料は、イオン飲料、等張飲料などとも呼ばれる。電解質とは、ナトリウムのように溶液中でイオンとして存在する無機質を指す。等張とは、体液と濃度がほぼ同じという意味だ。生理食塩水の塩化ナトリウム濃度は0.9%。1Lに塩を小さじ1杯ほど入れた濃度である。

塩水:なかなかだね。浸透圧だけを考えるなら、真水のほうが体液と濃度が近いイオン飲料より速く吸収されるはず。水を多く吸収する腸は小腸だよ。小腸の壁には、ナトリウムとブドウ糖を一緒に取り込む専用の扉がある。(これはたとえで、実際は膜タンパク質だ。)その扉の名前はSGLT1(sodium-glucose cotransporter 1)。ソディウムはナトリウムの別名だね。

ナトリウムだけでは、この扉をうまく通れない。ブドウ糖だけでも簡単じゃない。2つが一緒にあるとき、この扉が大きく開く。

淡水:水分吸収の話なのに、なんでナトリウムとブドウ糖の話になったの?

塩水:焦らないで。ナトリウムとブドウ糖が膜タンパク質を通過したら、どうなる?

淡水:内側の濃度が上がるよね。

塩水:だから電解質飲料の中の水が、より吸い込まれやすくなるんだ。

ブドウ糖回収により熱心な、2つ目の秘密の扉

淡水:わかった。SGLT1があるなら、SGLT2もあるよね?

塩水:SGLT1は小腸に多く、SGLT2は腎臓に多い。後者は、腎臓で尿に出ていくブドウ糖を再吸収する。ブドウ糖を吸収する能力は、2のほうが1よりずっと高い。重要なエネルギー源である糖を、せっせと回収しているわけ。

淡水:腎臓でブドウ糖を回収しないほうがいい人もいるってこと?

塩水:その通り! 糖尿病の人なら、そうすると血糖値が下がる。糖尿病治療薬のダパグリフロジンなどは、この仕組みを利用している。こうした薬は、SGLT2をあえてブロックするんだ。

淡水:さすが専門家だね。納得。俺も生理食塩水で鼻うがいするよ。ありがとう。

鼻腔洗浄は、生理食塩水を片方の鼻孔から流し入れればよい。生理食塩水がもう片方の鼻孔から流れ出る際に、異物も一緒に洗い流される。生理食塩水は薬局で購入できる。ミネラルウォーターより少し高い。使い切りタイプもある。スプレータイプの製品は使いやすい。

小さな不調でも毎年繰り返されると、日常生活はもちろん仕事にも支障が出る。淡水ではなく塩水で鼻の中を洗い流せば、より爽やかな春を過ごせる。特に慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎の人は、毎日鼻うがいをすると効果が高く、薬の使用量も減らせると専門家は述べている。

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