手術室に「保温庫」? 患者が眠る間に働く安全装置

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体温・空気・電気・床まで管理 ロボット手術時代で複雑化する手術室

手術室。写真=ゲッティイメージズバンク

ふだん病院を受診する患者が、手術室の奥まで目にする機会はほとんどありません。手術室は常に閉ざされた扉の向こうにある空間です。ですが、その内部では想像以上に多くの安全装置が同時に稼働しています。

手術室の保温庫はなぜ必要なのか

手術中の体温低下は、想像以上に起こりやすい問題です。高齢の患者ほど体温変化の影響を受けやすくなります。

麻酔下では、寒さを感じて体が反応する力が低下します。体温が1〜2度下がるだけでも血小板機能と血液凝固機能がともに低下し、手術中の出血量が増えます。末梢血管が収縮すると組織への酸素供給が減り、創傷治癒が遅れて感染リスクも高まります。

手術室の保温庫(Warming Cabinet)は、単なる利便機器ではありません。手術中の患者の体温を守るための中核装置です。輸液は37〜40℃に加温して体温低下を防ぎます。患者の体を覆う毛布は40〜45℃、手術部位を覆う手術布は35〜45℃で温かく保管します。

ただし、過度な加温は熱傷や物品の損傷を招くおそれがあります。メーカー基準と病院の指針に従う必要があります。とりわけ輸血用血液は一般の保温庫で保管したり温めたりしてはいけません。専用の血液加温器(Blood Warmer)を使用します。

つまり手術室における「温かさ」は、患者に配慮する情緒的な仕掛けではありません。出血や感染、回復に要する時間を減らすための医学的な管理要素です。

清浄な空気は手術成績を左右する見えない条件

手術室の安全を支えるもう一つの出発点は空気です。空気中のほこりや微生物は目に見えませんが、手術部位感染と深く関係します。特に人工関節手術や骨折手術のように、体内に人工インプラントや金属が入る手術では空気管理がより重要になります。

手術室に入る空気は複数段階のフィルターを通過します。外気がプレフィルター(pre-filter)、ミディアム(medium)フィルター、そしてHEPAフィルターを通り、段階的により細かくろ過される仕組みです。

細菌は空気中を単独で漂うというより、ほこりや微粒子に付着して移動することが少なくありません。そうした粒子を減らすことが感染管理の出発点となる理由です。

空気の流れも重要です。手術室は廊下より室内の圧力を高く保ちます。陽圧です。そうすることで扉が開いても、廊下の汚染された空気が手術室内へ押し込まれません。新型コロナウイルス流行期によく耳にした陰圧病室とは逆です。陰圧では病室の空気が外へ漏れ出ないようにします。

さらに層流(Laminar Air Flow)システムもあります。清浄化された空気が天井から下方向にのみ流れ、汚染された空気は下部の排気口から排出されるようにした換気構造です。

手術室は、一度きれいに整えれば終わりという空間ではありません。浮遊粒子、細菌、差圧、温湿度、HEPAフィルターの状態、風速と風量を定期的に点検する必要があります。手術室の「清潔さ」は宣言ではなく、測定によって確認されます。

電気は途切れてもいけないし、漏れてもいけない

手術室における電気は二重のリスクです。途切れても危険で、誤って流れても危険です。

手術中の患者は麻酔下にあります。感電や異常電流を感じても、それを訴える手段がありません。

さらに手術室には麻酔器、人工呼吸器、無影灯、電気メス、画像機器、ロボット機器など、電力に依存する装置が多数あります。特に心臓につながる医療機器では、数十〜数百マイクロアンペア(μA)の微小電流でも不整脈や心室細動を引き起こす可能性があります。

一般の空間では漏電が起きるとブレーカーが電源を遮断します。しかし手術中の電源遮断は、患者の生命に甚大な危険をもたらします。

そのため手術室では、医療用絶縁変圧器を用いた非接地電源系統(IPS)が使われます。一次側で漏電が起きても、必須機器の電源が直ちに落ちない構造です。その代わり、絶縁監視装置(LIM)が電気状態を継続監視し、異常があれば警報を鳴らします。

停電への備えも不可欠です。無停電電源装置(UPS)は外部電源が途絶えたり電圧が不安定になったりした場合、1秒以内に電源をつなぎます。

そのため非常用発電機も必要です。手術中に「何も起きない」よう、見えない装置が常に待機する仕組みです。

壁と床にも特別な理由がある

手術室の壁と床は一般病室とは異なります。見た目はシンプルでも、ほこりや細菌が潜む隙間を減らすために特別に設計されています。

まず壁と天井は表面が滑らかで、清掃と消毒がしやすいことが求められます。継ぎ目が多かったり隙間があったりすると、ほこりがたまり空気が漏れて感染管理の弱点になります。器械棚や収納棚をすべて壁面に埋め込むのもそのためです。突出部やほこりがたまる空間を減らす狙いがあります。

床も静電気が起きにくい材質を用い、隙間が生じないよう無継ぎ目構造で施工します。手術室の床と壁は、単なる内装ではありません。感染管理と機器安全の一部です。

ロボット手術時代、進化する手術室

かつて手術室の安全は、主に滅菌、手洗い、器具管理といった感染予防に重点が置かれてきました。現在もなお、基本として守るべきルールです。

ただ、ロボット手術と低侵襲手術が増えるにつれ、手術室が担う条件も増えました。手術ロボット本体は大きく重いものです。ロボットアームが患者の周囲を占め、執刀医はコンソールに座って操作します。助手医師と看護師は患者のそばで、ロボットアームと動線を合わせる必要があります。

そこに新たなケーブルが床を横切り、高精細の映像モニターが追加されます。さらにロボット手術システムは高電力を要する機器です。

手術の切開創は小さくなりましたが、手術室内の条件はむしろ複雑化していると言えます。空気、電気、体温、床という手術室の基本条件が、こうした変化に合わせてアップグレードされるべき理由です。

12年連続で「関節専門病院」として手術力を磨いてきた釜山本病院(代表院長=ハ・サンフン)も、こうした流れを踏まえて手術室環境をさらに整えました。2013年から「クリーンルーム(clean room)手術室」を運用してきましたが、最近は高齢の関節手術患者の増加とロボット・低侵襲手術環境の変化に対応し、空調設備、電源供給体制、保温庫、手術室の仕上げ材などを追加で改善しました。

チョン・ユンテ釜山本病院行政院長は「手術室の安全は、どれか一つの機器だけで完成するものではなく、空気、電気、体温、動線、仕上げ材が一体となって機能するシステムです」と述べ、「高齢患者の手術が増えるほど、手術前後の潜在的リスクを減らす環境管理がより重要になりました」と語りました。

患者は手術室内で起きていることを直接見ることができません。そのため手術室の安全は、多くの場合、医師と機器の問題としてのみ理解されがちです。

しかし手術室は、患者安全のための橋頭堡、すなわち前進基地です。

患者が眠っている間に、見えないリスクをどれだけ静かに減らしているのか。それこそが手術室のもう一つの本質です。

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