中年のぽっこりお腹、体重が減っても落ちにくいのはなぜ?…内臓脂肪が脳と心臓に及ぼす影響

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体重は減ったのにお腹だけそのまま? 脂肪の“場所”が問題だ

写真=クリップアートコリア

お腹が出てきた。食べ過ぎたわけでもなく、運動量が大きく減ったわけでもない。

「年齢のせいだろう」と流してしまう人は多い。だが、こうした油断が、いま脳と心臓を少しずつむしばんでいる可能性がある。

基礎代謝が徐々に落ちる中年期に、仕事と育児の負担が増え、会食の予定まで重なると、年齢とともに増える脂肪が定着するリスクは小さくない。

脂肪は量より『場所』が問題

中年のぽっこりお腹で懸念すべきなのは、脂肪の量ではなく、脂肪がある場所だ。中年になると、脂肪は皮膚の下よりも臓器の周囲に多く蓄積し始める。

ホルモンと生活習慣がこの流れを後押しする。女性は40代後半からエストロゲン値が低下し、脂肪が臀部や太ももより腹部にたまりやすくなる。男性は40代前半からテストステロンが徐々に減り、50代以降は筋肉量の減少が目立つようになり、同じカロリーを摂っても内臓に脂肪がつきやすい。そこにストレスが重なると、そのスピードはさらに速まることがある。

皮膚の下の脂肪(皮下脂肪、subcutaneous fat)と、臓器の周囲にたまる脂肪(内臓脂肪、visceral fat)の位置を示す図。たまる場所によって健康への影響は異なる。写真=ゲッティイメージズバンク

体重は減ったのに、お腹はなぜそのまま?

体重が減っても腹囲が変わらないのには理由がある。腹部の奥深くにある内臓脂肪は体内で活発に働き、食事や運動の変化に比較的早く反応しやすい。一方、皮膚の下の皮下脂肪はエネルギーを長く蓄える役割が大きく、いったん定着すると落ちにくい。

若い頃は皮下脂肪が大半を占めるが、中年以降は内臓脂肪の割合が徐々に高くなる。問題は、内臓脂肪が単なる貯蔵庫ではない点だ。炎症性物質や脂肪酸を絶えず放出して体内のバランスを崩し、血糖コントロールを難しくし、肝臓や血管、脳の機能をゆっくり損なう可能性がある。

脳と心臓は、なぜ同時に老いるのか

イスラエルのネゲブ・ベングリオン大学の研究チームは、成人533人(追跡開始時の平均年齢52歳)を最長16年間追跡し、脳・腹部のMRI(磁気共鳴画像)を繰り返し撮影した。

体重が減っても内臓脂肪が一緒に減らなければ、脳萎縮の進行速度は変わらなかった。反対に、内臓脂肪を継続的に減らした人では、脳容積がより保たれ、認知機能スコアも高く維持された。BMI(体格指数)とは無関係な独立した結果で、皮下脂肪では同様の効果は見られなかった。

内臓脂肪が減るとインスリン抵抗性が改善し、血糖も安定して、脳の健康を守る経路として働くと解析された。この研究は2026年3月 〈ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)〉 に掲載された。

米国ワシントン大学医学部の研究チームも、同様の結果を示した。平均55歳の成人1164人を全身MRIで解析したところ、内臓脂肪が多いほど、脳の生物学的年齢が実年齢より高かった。この研究は2025年11月、北米放射線学会(RSNA)年次学術集会で発表された。

心臓も例外ではない。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、英国の大規模医療データベースであるUKバイオバンク参加者2万1241人の心臓画像を解析し、2025年12月 〈ヨーロピアン・ハート・ジャーナル〉 に発表した。お腹の中の脂肪が多いほど、心臓の生物学的年齢が実年齢を上回った。

突き出たお腹を触りながら不安そうにする中年女性。臓器の周囲にたまる脂肪が増えると、健康リスクが高まる可能性がある。写真=ゲッティイメージズバンク

内臓脂肪は、こう減らす

忙しい中年には、運動時間を増やすより、やり方を変えるのが先だ。速歩きを2〜3分、ゆっくり歩きを1〜2分、交互に4〜5回繰り返すインターバルウォーキング(速度を変えながら歩く)が現実的な解決策になる。まずは1日20分、週3回から始めてみよう。

下半身の筋力トレーニングも欠かせない。スクワット(足を肩幅に開き、膝を曲げて伸ばす動作)やランジ(前に一歩踏み出して膝を曲げる動作)を週2〜3回、10〜15回ずつ行うと、筋肉量の減少を遅らせられる。筋肉が減ると、同じ量を食べても脂肪に変わりやすい。

食後に軽く10〜15分歩く習慣は、血糖の上昇を抑え、脂肪へ変換される量を減らすのに役立つ可能性がある。食後すぐに座らないだけでも差が出る。

飲酒は量と回数をセットで考える必要がある。缶ビール1本(約350mL)、焼酎1杯(約50mL)、ワイン1杯(約150mL)も、いずれも飲酒に当たる。こうした飲酒が週2〜3回以上繰り返されたり、2日連続で飲んだりすると、お腹の脂肪が増える可能性が高い。飲酒後は少なくとも1日は休もう。

たんぱく質は一度にまとめて摂るより、分けて摂るほうがよい。朝食と昼食でたんぱく質を意識すると、筋肉量の減少を遅らせ、脂肪の蓄積を抑えるのに役立つ。

食べることと同じくらい、座っている時間も問題だ。1時間以上ほとんど動かずに座っていると、体の脂肪燃焼機能が低下することがある。途中で立って動くだけでも、この流れを変えられる。

適切な睡眠も確保しよう。中年は1日6〜8時間、毎日同じ時間に寝起きするのが望ましい。

一般に、男性は腹囲90cm以上、女性は85cm以上で腹部肥満とされる。体重が正常でも、この基準を超えているなら見直しが必要だ。体の変化は体重計よりも、まずウエストに表れる。その数値が少しずつ増えているなら、いまが変えるタイミングだ。

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