
新年にはどれくらい歩くのが良いのだろうか?1日1万歩の歩行を健康のルールのように考える人が多い。しかし、これは十分な医学的根拠がない企業のマーケティングの産物である。「1万歩」という数字は、1964年の東京オリンピック直後に日本のある企業が作った「万歩計(Manpo-kei)」という製品の名前に由来している。このマーケティングが作り出した強迫観念のために、世界各国で自分の体の状態を無視して歩行に執着し、病気を得たり悪化させたりするシニアが少なくない。
韓国の65歳以上の人口は現在1050万人を超えた。この中の相当数にとって、無条件の1万歩の歩行は「聖杯」ではなく「毒杯」となる可能性がある。脊柱管狭窄症、筋肉減少症、足底筋膜炎、糖尿病足などの患者にとって1万歩は大きな無理である。健康をむしろ害する主因である。冬季には高血圧患者にも危険である。
1万歩、1964年日本の万歩計会社のマーケティング作品…このような「強迫」から早く脱却すべき
まず、脊柱管狭窄症患者だけでも約182万人(健康保険審査評価院、2023年基準)いる。この患者にとって1日1万歩の歩行はリハビリではなく自虐に近い。国際学術誌 《脊柱(Spine)》に掲載されたアメリカ・ワシントン大学医学部の研究結果(2020年2月)によると、脊柱管狭窄症患者が痛みを我慢して長時間歩くと、脊柱管内部の圧力が高まり神経通路がさらに狭くなり、脚のしびれや麻痺症状が悪化する可能性がある。狭窄症患者は無理に1万歩を歩こうとしてはいけない。痛みが来る前に歩行を止め、必ず休息を取るべきである。
筋肉減少症患者にとっても1万歩の歩行は無理である。65歳以上の高齢者の約20〜30%、200万人以上が筋肉減少症を経験している。これらの患者にとっても過度な歩行は毒である。「筋肉を守ろうとして燃やす」という俗説は間違いではない。アメリカ・ジョンズホプキンス大学医学部の研究結果によると、栄養状態が不十分な高齢者が高強度の有酸素運動にのみ執着すると、私たちの体がエネルギーを得るために既存の筋肉を分解して燃料として使ってしまうことが示された。これは国際学術誌 《アメリカ老年医学会誌(Journal of the American Geriatrics Society)》(2021年4月)に掲載された。70代以上の高齢者には1万歩の歩行よりも30分間の適切な筋力運動とタンパク質摂取がはるかに重要である。
無理な歩行…心血管病患者の「冬季急死」、糖尿病足患者の「切断」リスクを高める
国内の20歳以上の高血圧患者は約1300万人と推定される。これら心血管病の高リスク群にとっても寒い冬季の1万歩の歩行は命を賭けた賭けになる可能性がある。国際学術誌 《アメリカ心臓学会誌(Journal of the American College of Cardiology)》に発表されたアメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院の研究結果(2020年12月)によると、準備が整っていない状態で無理に早く歩くと心臓に過負荷がかかり、不整脈や心筋梗塞を引き起こすリスクが高まる。また、糖尿病性末梢神経障害を患っている患者も歩行に注意が必要である。足の感覚が鈍くなった状態で1万歩を歩くと、足裏に水ぶくれや傷ができても気づかず、「糖尿病足」と呼ばれる潰瘍につながる可能性がある。
ハーバード大学の研究結果…「健康な70代、1日7500歩歩けば十分」
では、どれくらい歩くのが正解なのだろうか?国際学術誌 《アメリカ医師会ジャーナル内科学(JAMA Internal Medicine)》に掲載されたハーバード大学医学部の研究チームの大規模追跡観察研究結果によると、高齢者は1日約7500歩だけ歩いても死亡率減少効果が最高レベルに達することが示された。これ以上歩いても追加的な健康利益はほとんどないと分析された。1万歩という数字に囚われて、膝関節や心臓を酷使する必要は全くない。
歩行において重要なのは量ではなく質である。自分の慢性病や関節の状態を考慮しない1万歩への執着は、むしろ老後の生活を短縮させるだけである。マーケティングが作り出した「1日1万歩」という幻想から脱却すべきである。自分の体が送る痛みの信号に耳を傾けるべきだ。
[よくある質問]Q1. 膝関節炎患者は全く歩かないべきですか?
A1. いいえ。適度な歩行は関節周辺の筋肉を強化し、痛みの緩和に役立ちます。ただし、痛みを我慢して歩くことが問題です。国際学術誌 《関節炎と腰痛(Arthritis & Rheumatology)》(2022年6月)に発表されたガイドラインによると、関節炎患者は痛みのない範囲内で平地をゆっくり歩くか、水中歩行のように関節への負担を減らす運動を併用することが安全です。
Q2. 70代の糖尿病患者が安全に運動する方法は何ですか?
A2. 糖尿病患者は運動前後に必ず足の状態をチェックするべきです。1万歩という数字に執着するのではなく、通気性と衝撃吸収性の良い運動靴を履いて30分以内に軽く歩くのが良いです。特に感覚が鈍くなっている場合は、足に傷がないか鏡で確認する習慣が1万歩の歩行よりも重要です。
Q3. 1万歩の代わりにおすすめの運動はありますか?
A3. 70代以上の健康なシニアであれば、1日5000〜7500歩程度の通常の歩行に、週2〜3回程度の軽い筋力運動(スクワット、かかと上げなど)を組み合わせるのが最も理想的です。ハーバード大学の研究でも証明されたように、過剰は不足に等しい原則は健康管理にもそのまま適用されます。
