
朝の空腹時に塩水を飲むと、腸がきれいになって毒素が排出される――。いつの間にか、YouTubeをはじめとするソーシャルメディアを中心に広まっている健康情報です。実際に塩水を飲んで「体が軽くなった気がする」「朝、すっきり目覚める感じがする」といった声も見られます。果たして本当なのでしょうか。
「浸透圧で腸が洗浄される」という主張
結論から言うと、空腹時に塩水を飲むことで健康が増進するという科学的根拠は明確ではありません。では、なぜ効果があるように感じる人がいるのでしょうか。理由の一つは、ソーシャルメディア上の説明が一見もっともらしく聞こえるためです。
主張の理屈はこうです。空腹時にぬるま湯へ塩をティースプーン1〜2杯入れて飲むと、浸透圧の影響で水分が腸で吸収されにくくなり、そのまま通過して「腸が掃除される」というものです。水分が腸へ移動すると腸の動きが促され、排便が促進されて大腸にたまっていた便が体外へ出る、という説明です。
もちろん、塩水を飲んで便通がつく人もいます。しかしそれは腸の機能が改善したというより、一時的な刺激で便が押し出された可能性が高いと考えられます。腸の健康を目指すうえでは、こうした強い刺激がかえって負担になることもあります。普段から胃が弱い人は、塩水の刺激を強く感じるおそれもあります。
カン・ドン慶熙大学病院の消化器内科教授、チャ・ジェミョン氏は「高濃度の塩水は胃粘膜を刺激し、胃炎や吐き気、嘔吐を引き起こす可能性がある」と懸念を示しています。
ナトリウムの過剰摂取に注意…うがいは一部で有用
一般に、韓国ではナトリウム摂取量が多い傾向があります。さまざまなスープやチゲ、ナムルの和え物などにも塩やしょうゆが使われるためです。これに加えて塩水まで飲むと、ナトリウム過多に陥る可能性があります。血圧上昇やむくみにつながることがあるため注意が必要です。
一方で、塩水が役立つ場面もあります。下痢などで脱水が疑われるとき、塩分と水分の補給として一定の意味を持つ場合があります。また、塩水でうがいをする方法もあります。塩には抗菌作用があるとされ、口腔内や歯ぐきの炎症、腫れの軽減につながることがあります。
ただし、はっきりしているのは、塩水は「薬」でも「サプリメント」でもないという点です。便秘がつらい場合は、塩水で刺激を与えるより、食物繊維の多い食品を取り入れるほうが役立ちます。特に高血圧がある人は、塩分摂取の増加がリスクになり得るため注意してください。
